2022年08月26日 1736号

【うわべだけの統一教会隠し/内閣改造に世論はだまされず】

 岸田文雄首相が内閣改造と自民党の役員人事を行った(8/10)。内閣支持率の急落を受けた措置であることは言うまでもない。

 実際、報道各社の世論調査をみると、岸田内閣の支持率は軒並み下落している。NHK調査(8/5〜8/8実施)の場合、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、参院選後に行われた7月の調査より13ポイント下がって46%となった。これは岸田内閣が発足して以降最も低い数値である。

 直接の原因は、旧統一教会問題と安倍元首相の「国葬」をめぐる岸田政権の対応だ。旧統一教会と政治との関係について「説明が足りない」が82%。「国葬」実施については「評価しない」が前回より12ポイント増えて50%、「評価する」が13ポイント減の36%と、賛否が逆転した。

 こうした結果に自民党内は「国葬がある9月には反対が7割になる」(8/9時事)と動揺している。そこで岸田首相は9月上旬と言われていた内閣改造を前倒しで行い、風向きを変えようとしたというわけだ。

反対広がる「国葬」

 岸田首相は内閣改造後の記者会見で、今回は旧統一教会との関係を見直すことを了解した人だけを閣僚に任命したと述べた。しかし、新内閣の閣僚もすでに7人が教団との関係を認めている。また、教団関連団体の理事を務めたことがある萩生田光一前経産相を党の政調会長に起用した。

 しかも、「関係大臣に被害者救済に万全を尽くすことを指示した」という首相の言葉とは裏腹に、霊感商法や献金などの被害に関する「国会調査委員会」の設置を茂木敏充幹事長は拒否した。何もせずに世間が忘れてくれることを期待しているのだろう。

 このような姿勢に人びとが納得するはずがない。読売新聞の緊急世論調査(8/10〜8/11実施)によると、岸田内閣の支持率は改造直前の前回調査より6ポイント下落の51%となり過去最低となった。不支持率は34%と過去最高を記録した。岸田首相が新閣僚らに対し、旧統一教会との関係を自ら点検し見直すよう求めたことについては「十分な対応だと思わない」が55%と半数を超えた。

 そもそも脱統一教会を掲げながら、この反社会カルト教団を利用してきた安倍元首相の「国葬」を無理押しするなんて、言行不一致もいいところ。内閣府の国葬担当者は「法的根拠はなく、閣議決定が根拠」とまで言った(8/9野党合同ヒアリング)。「安倍国葬(アベノコクソウ)」を法治国家・日本の葬式にしてはならない。

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