2022年08月26日 1736号

【立ち遅れた政治分野のジェンダー平等/国際基準で女性の権利拡大を/OPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)代表 茨木市議・山本よし子)】

 7月25日は「女性の権利デー」でした。37年前の1985年に国連女性差別撤廃条約が国内で発効した日です。79年に国連で採択されたこの条約は、男女の性的役割分業を見直し、事実上の平等を実現するための画期的内容を持っています。

 条約に基づく女性差別撤廃委員会は、日本に対し、選択的夫婦別姓の導入、性暴力の防止、男女賃金格差の是正などの「勧告」を出しています。ジェンダー平等について、日本は国際的な水準から立ち遅れています。私たちOPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)は、女性差別撤廃条約をより実効性あるものにする選択議定書の早期批准を訴える行動を行いました。

 日本では、政治の場での女性の地位はきわめて低い。参院選で当選した女性議員は35人。参院全体で64人になりようやく25・8%に達しましたが、衆院では女性の割合はまだ14%。今回の岸田新政権で閣僚になった女性は20人中たった2人です。ジェンダーギャップ指数は、日本は116位。特に政治の分野では139位と、世界の流れから大きく取り残されています。

 政治の場での女性の活躍を保障するためには、諸外国が実施しているクオータ制(割り当て)を導入し、ジェンダー平等の視点を持って政策提言ができる人を増やさなければなりません。しかし、女性が選挙運動をする上での制約も大きく、女性候補者に対するセクハラ、子育てをしながらの選挙運動の困難さの問題もあり、女性が立候補しやすい環境づくりも必要です。

市民の力で女性議員を

 女性の議員や首長を誕生させる上で、画期的動きを見せたのが杉並区長選挙(6/19)です。岸本聡子さんが、現職を187票の僅差で破り当選した背景には、市民運動の強いネットワークがありました。岸本さんが立候補を表明する前から、児童館の廃止や道路の拡張に反対する市民の運動があり、選挙中も市民が前に出て、自分たちの抱えている課題を自分の言葉で訴え、それに候補者が応える選挙活動が展開されました。

 ジェンダー平等に関して、岸本さんは記者会見で次のように述べています。「住んでいたベルギーでは閣僚の半分が女性で、平均年齢も44歳。日本では一般に女性の地位が低く、役職に就く人の年齢も高い」。ジェンダー平等が進まない背景として「社会や企業、家族の中に不平等が構造的に組み込まれている」と指摘。来年の統一地方選に向けて「一市民として、もっと女性の候補者が出てほしい。支援したいと思う」と述べています。女性議員や岸本さんのような女性首長をもっと増やすために、私たちもたたかっていきます。

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