2022年08月26日 1736号

【日韓市民の連帯で東アジアに平和を/朝鮮半島終戦平和キャンペーンを広げよう/2020ZENKO第2分科会】

 2022ZENKO第2分科会のテーマは、一昨年6月韓国から呼びかけられた「朝鮮半島終戦平和キャンペーン」を日韓市民の連帯でどう広げていくか。ウクライナ戦争の長期化、東アジアの軍事的緊張の高まりを受けて真剣な議論が交わされた。

 ZENKO共同代表の河辺友洋さんが基調と決議案を提起。「岸田・ユン両政権は琉球弧の軍事要塞化やソソンリへのTHAAD(サード)(高高度防衛ミサイル)配備など軍備増強を進めている。『新冷戦時代』とも呼べる東アジアの覇権争いを止める鍵は、朝鮮戦争を終わらせること。ウクライナでも以前から双方が軍事的対立を強め合っていたために戦争が始まった」と指摘し、「朝鮮半島終戦平和キャンペーンは現在までに12万66筆が集まった。世界中で戦争の不安が高まる今こそ、軍事ではなく対話による東アジア平和構築を訴えよう」と呼びかけた。

 韓国からは、7月23日DMZ(非武装地帯)近くで行われた「休戦から平和へ!」集会のビデオ映像が届き、対案文化連帯・軍縮反戦平和行動のチャン・スヒさんが「2022年上半期平和行動」を報告。映画『麦の穂をゆらす風』鑑賞と討論会、「ウクライナに平和を」ロシア領事館前金曜ろうそく行動、反核座り込みテントでの「絵本を読む会」、「5・18光州(クァンジュ)事件」「セウォル号」を記憶する行動、差別禁止法制定を求める断食闘争、朝鮮学校に本を贈るイベント、「持続可能な命のためのエコ・コムナーレ」での署名活動など、多彩な取り組みを重ねてきたことを伝えた。

 日本側参加者の質問に答え、スヒさんは「映画はケン・ローチ監督作。アイルランド独立戦争を題材にしていて、韓国とも似た残酷な植民地支配との闘いに共感した。絵本は『家に』という題で、イギリスの田舎の村に原発ができ、村人たちが家を追われる物語。一人一人順番に、登場人物の気持ちになって読んだ」「ロシア領事館前では『戦争反対』と表明する若者たちや『早く戦争を終わらせないとガソリン代が下がらない』と主張する年配者も」「在日コリアンを描いた映画が公開され、『在特会から攻撃を受けている』等と考え始める機会に」「歌や映像を用いたキャンペーンが若い人たちを惹(ひ)きつける」「集会の言葉をデザインに取り入れたりTシャツにすれば、自分がどんな立場か一目で分かってもらえ、初めて会う人にも安心感が」と続ける。

市民主催の文化交流を

 討論では、「街行く人が無関心なのは何も知らないから。でも、新大久保のコリアンタウンでヘイトスピーチの問題を話しかけると、若者が分かってくれる。韓流ドラマなどを通して、社会科では教えない日韓の歴史、植民地支配について勉強しているから。そんな文化交流が署名を集める早道」「朝鮮半島・日本列島・琉球弧を新冷戦の最前線ではなく、新しい世界の『万国津梁(しんりょう)』=架け橋にしていくことが私たちの責務」などの意見が出された。

 決議案の8・14共同行動の具体化として、スヒさんは「ストリート・コンサート」「“東アジアの民衆にとって平和憲法の意味は?”をテーマにしたフォーラム」「感想を一つの単語に書いて語り合う会」を提案。日本では「8月1〜14日を朝鮮半島終戦平和キャンペーン署名行動期間とする」「14日夜に日韓平和市民交流会を開く」ことを決めた。

[編集部より―『麦の穂をゆらす風』は週刊MDS第966号(06年12月発行)でも紹介しています。l ]





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