2022年09月09日 1738号

【議会を変える 東京都足立区議 土屋のりこ 議会活動と出産の両立を】

 皆さんの職場では、社員が妊娠した場合、会社はどういう態度を示すだろうか。私のマタ友≠フ一人は、大手派遣会社から雇い止めされ、労基署にもかけあったが最終的には退職で決着したという。腹立たしいがそういった現実はたくさんある。どんな職場であれ希望する女性が妊娠・出産・子育てと仕事を両立できる環境整備は、ジェンダー平等実現のためにも必要だ。

 足立区議会では3年前、現職議員が出産したことを契機に「議会のあり方検討会」を開催し、妊娠・出産と議会活動との両立をめざす制度改革をおこなった。当時無会派だった私も参加し、自分たちで制度を作る楽しみを感じたものだった。全会派一致の原則があるため、一致した部分のみの取りまとめではあったが。

 そしてこの度、私も自ら作りあげた制度を活用する番となった。足立区議会で整備したのは5項目。託児室の整備、会議出席の際の保育、視察時の子どもの同伴、本会議等質問や文書質問、ハラスメント研修についてだ。

 妊娠中期を迎えた6月議会では、出入りしやすい端の議席へ変更をしてもらった。8月、いよいよ制度ができて初の産休届を提出した。これまで議会の欠席事由に「出産」は含まれておらず、制度として明文化されたことは心強い。

 議会事務局を通して全庁にアナウンスされ、産休中の委員会等報告や全議員配布資料など配布物はすべて自宅へ郵送されてくる。他会派の人たちからも「楽しみだね」「おめでとう」、議長からは「産休明け保育がなければ会議中、子どもの面倒見るよ」などとも。視察に子どもを同行できることとしたのは23区初で、子育てに理解ある議会として注目も集めた。議会改革は時間がかかることも多いが、ひとたび波に乗れば大きく進むこともある実例だ。

 妊娠・出産する女性を受け入れるのは当たり前の世の中になるよう、区議会が先頭になって区民はじめ社会的に強く啓発していきたいと思う。

 議員特権ではなく、すべての女性が自らの「性」を主体的に生き、自己実現できる社会を目指したい。

 
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