2022年09月09日 1738号

【『君が代』調教NO!処分取消裁判 結審 原告松田さんが渾身の証言 判決は11月28日】

 2020年12月大阪地裁に提訴した「『君が代』調教NO!松田さん処分取消裁判」。8月22日、いよいよ裁判の山場、原告の元大阪市教員松田幹雄さんの本人尋問に傍聴席は入りきれない支援者があふれた。

 主尋問はわずか25分だが、静まり返った法廷で松田さんが不当処分から約7年半、闘い続けてきた思いを語る。

 戦前の天皇制支配の暗黒社会を作った「御真影、教育勅語、君が代」の役割をまず強調。弁護士が「松田さんにとって『君が代』を歌うことは?」と問う。松田さんは、竹本源治氏の詩『戦死せる教え児よ』を引用し、「詩の思いを受け継ぎ、教育に向き合いたいという姿勢を捨て去ること、歌うことは『転向』を意味し、私の思想・良心の自由に基づきできませんでした」と毅然と主張した。

 大阪市国旗国歌条例と教育長通知・職務命令により、儀式で全員の起立斉唱を強制する一端となることを強いられるが、「調教教育」を担うことはできない。子どもの権利条約に照らし、人権尊重の教育を受ける権利、意見表明権、必要な情報を与えられる権利に反する現在の大阪の「調教教育」は間違っており、不起立は罰せられるべきではない。「この判決は、教育のあり方に大きな影響を与えます。私たちが、なぜこれほどまでこの問題にこだわっているのか、その思いを受け止めた判決をお願いします」と陳述を締めくくった。

 対する被告側弁護士は、反対尋問も行わず正面から争うことを避け不誠実な姿勢に終始した。

 裁判長は弁論終結を宣し、判決日は11月28日となった。

9・22に支援の総会

 報告集会には43人が参加し、活発な論議が交わされた。冠木(かぶき)克彦弁護士は開口一番「制約された時間の中で、よくあれだけ思いをしっかり主張できた」と松田さんをねぎらう。千葉県から参加の元高校教員は「今の教育が『調教』化しているからこそ、子どもたちに考えさせることが大事」と駆け付けた思いを述べた。

 良心的兵役拒否や、まちがった上司の命令に抗する権利、安倍国葬による教育と子どもへの弔意強要など多岐にわたる交流・論議があった。とりわけ、国葬には、府教委、市教委になかまユニオンとして申し入れした報告もあり、多様な運動で跳ね返すことの大事さも確認された。

 判決期日に向け、弁護団は最終準備書面の提出を表明。支援者らも多彩な取り組みを呼びかけた。9月22日には、維新教育支配に異議を唱えた久保敬・元大阪市立小学校長を講師に招き、松田さんとともに闘うD−TaC総会(18時30分〜エルおおさか)も行われる。

 
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