2022年09月09日 1738号

【カジノ・万博で大阪が壊れる―維新による経済・生活大破壊/桜田照雄・山新・山田明著 あけび書房税込1760円/維新政治のカジノ暴走を暴く】

 大阪カジノ住民投票署名は21万筆を達成し、維新府市政のカジノ強行を大きく揺さぶっている。だが、全府民880万人、さらに全国の市民へと視点を向ければ、カジノの問題点はまだまだ伝わっていない。

 大阪のカジノ誘致を見ると、事業者は米国のカジノ運営会社らであるが、資金の大半は関西財界20社と銀行団による投資だ。その実態は、顧客も国外からのインバウンドではなく、関西の市民をターゲットにした日本資本のための日の丸カジノ≠ナある。

 6400台のゲームマシーンによって5千億円ほどの粗利益を上げるという。著者の一人、桜田照雄によれば、カジノの一般的な粗利益率が7%なのでこれで割引くと年間売上は7兆円超になる。競馬の年間売上額2兆3千億円と比べても、とてつもない数字となる。のべ1千万人が7兆円、1人年70万円を賭博に投じる。現実性もあるとは考えられない異常な想定なのだ。

 大阪のカジノ計画は2025年の万博と連動している。万博の開催場所は7か所が候補に挙がっていた。理由がはっきりしないまま夢洲(ゆめしま)に決まる。そこには維新の松井大阪府知事(当時)の意向が働いていた。カジノのために夢洲を開発したいからだ。

 その万博にも難題が生じている。大阪市の中心部と夢洲を結ぶ交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)であること、仮に来場者の急増があれば夢洲の面積からの混乱予想など。来場収入では運営費を賄えないことも想定され、杜撰(ずさん)な計画はカジノと同様だ。

 本書は、カジノ・万博による維新政治の経済・生活大破壊を暴き、ストップさせることの重要性を改めて示している。 (I)
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