2022年09月09日 1738号

【大阪カジノは止められる/府下1313`を駆け72全市区町村を結ぶ/住民投票をもとめる会・山川よしやす事務局長に聞く】

 大阪カジノ住民投票署名21万筆で直接請求された住民投票条例案は、7月29日府議会で否決されたが、署名運動に束ねられた府民の思いが揺らぐことはない。「カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会」事務局長の山川よしやすさんに、この闘いの広がりと展望を語ってもらった。

72市区町村が一緒に

 1月15日に準備会を立ち上げてから、署名を集めるまでは、とても短かったです。72市区町村のすべてにつてがあるわけではありません。ホームページを通じて受任者登録は進んでいきましたが、4月17日の時点で23の地域で担当者が決まっていませんでした。年金者組合や退職者組合などから紹介していただいた情報を頼りに電話をかけ、直接会って話を聞いていただくため大阪府内を走り回りました。

 地域担当者になっていただくための依頼も様々です。

 ▽豊能町(とよのちょう)―レストランに協力者に集まってもらう▽羽曳野市(はびきの)―施設の一角で年金者組合の方に話し込む▽泉佐野市―高齢男性のマンションでお願いする▽貝塚市―教会の礼拝後に神父様や信者の皆さんに要請、別の方と一緒に駅前署名▽八尾市―年金者組合、議員など一堂に会する場を作り説明▽熊取町、岬町、泉南市など複数市町のみなさんが集まる場を作り全体説明会▽大阪市西成区―新世界の喫茶店でモーニングを食べながら高齢男性に要請―などなど。

 大阪府内の市町村を「カジノはいらない…住民投票をみんなで実現♪」の音源を鳴らしながら、宣伝カーで走り回り、走行距離は街宣キャラバンを含め1313`にもなりました。地域の署名運動は各々特色があり、街頭署名、地域ローラー作戦・訪問、コンビニ横の署名ステーション、地域のお祭りでも集めました。受任者をつなぎ、一体感を持って一緒に取り組む署名運動になりました。

21万筆の署名の力

 大阪府議会は大阪維新の会が過半数を占め「諦めムード」もありました。しかし、運動過程で、一人ひとりが“直接請求権は権利だ”という意識を高め、「政治は変えていける」という確信を持てるようになっていきました。

 熊取町、富田林市、豊中市などでは住民投票の実現を求める意見書が採択されました。

 住民が自治を求める声、市民が主権を行使する力は決して小さなものではありません。既存の運動の足し算≠ナなく、個人の呼びかけによる新しい運動への大阪府民の参加がそれを超える力を生み出していきました。連日の粘り強い活動によって署名数が伸びてくると、さらに多くの市民団体や組合、「保守」「革新」に関係なく政党関係者からも協力をいただけけるようになりました。

 法定数を突破した時には、12社約30人の報道関係者から問い合わせが入り、「空気が変わった」と実感。21万筆を超える署名の力が、情勢を変えているという確信を持つことができました。

心に生まれた確信

 府議会での議決を観た府民の声を紹介します。

 「テレビで大阪府議会での意見陳述を拝見しました。蟻の一穴となる歴史的瞬間になる予感がしました」 「維新議員のあの品格の無さ、府民に寄り添うことのないあんな議員たちを議会から追い出しましょう」 「結果は許しがたいですが、このような住民自治に根ざした運動ができたことが、大阪の民主主義を高めることにつながり、維新政治を追いつめることになる、と思いました」―などです。

カジノは要らない

 「市民と野党の共闘」という言葉では言い尽くせない運動が広がり、“カジノは要らない”という一人ひとりの気持ちをつないできました。72市区町村でお互いに知らなかった府民が、署名目標数を明確にして地域をつなぎ21万134筆を集めきるという経験ができたこと、それを実現した府民の存在こそ私たちの大切な財産です。

 「時間があれば、もっと署名が集まった。もっと広げられる」という確信をみなが持ちました。カジノ白紙撤回を求める思いは変わりません。運動は発展し継続します。国に認可をさせず全国どこにもカジノは要らないという運動を、さらに広げていきます。



 
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