2022年09月16日 1739号

【関東大震災99周年 朝鮮人虐殺犠牲者らを追悼/忘却は再び悪魔を呼ぶ/悲惨な歴史を語り継ぐ】

 関東大震災から99年の9月1日、東京・墨田区の横網町公園で、虐殺された朝鮮人・中国人・日本の社会主義活動家・労働運動指導者らを追悼する式典が営まれた。

 実行委員長の宮川泰彦さんは開式のことばで「関東大震災の混乱時、『朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた』といった流言飛語が流布され、軍隊・警察・自警団などによって多くの朝鮮人らが命を奪われた。追悼式典は二度と同じ、あるいは類似の過ちを絶対に繰り返させないことを誓い合い、誓い合うだけでなく実践する場だ」と述べ、小池百合子東京都知事が就任翌年から追悼の辞の送付を拒否していることを強く批判。

 続けて「国は関東大震災の真相調査、虐殺された遺族への謝罪・補償をしようとしない。東京都も同じ。忘却は再び悪魔を呼ぶ危険がある。悲惨な歴史的事実を世を超え語り継ぐことが今を生きる私たちの責務。来年100年、それ以降も当式典を執り行っていく」と決意を明らかにした。

 「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」田中正敬(まさたか)事務局長(代読)は「故郷で待つ方がたには消息も知らされず、遺骨も戻らず、現在に至っている。まことに申し訳なく、お詫び申し上げる」と謝罪し、震災当時10歳だった女性の目撃証言を紹介した。

 「半殺しの人を川べりに無理やり引きずってくる。その人たちはもう抵抗する力もなく、4〜5人の男の人が薪(まき)で起こした火の上に朝鮮人の手と足が大≠フ字になるように下から燃やしている。火あぶりです。焼かれている朝鮮人は悲鳴を上げるが、次々に川に放り込まれていく」

 田中さんは「これほどの光景があったことを忘れてはならない。私たちはきょうこの場で、日本の侵略と植民地支配がもたらした加害の歴史を記憶に刻み、二度と繰り返されないよう力を尽くす」ことを誓う。

 朝鮮総聯東京都本部の康景翊(カンギョンイク)国際統一部長は「国や自治体が忌まわしい歴史の汚点を否定し、隠し、教えず、日本社会全般に歴史修正主義・排外主義を蔓延させている現状を危惧する。朝鮮学校に通う子どもたちまでも差別・迫害し、社会にヘイトを助長している。恥ずべきは過去の過ちよりも、そのことをなかったことにしようとする卑劣な試み。それはまたも人びとを過ちへとミスリードしてしまう危うさをはらむ」と警鐘を鳴らした。



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