2022年09月16日 1739号

【東京高裁は東電旧経営陣に有罪判決を/東電の刑事責任を追及する会が要請】

 福島原発放射能大量放出事故を引き起こし、強制起訴された東京電力旧経営陣3人の控訴審は6月に結審し、判決が来年1月に予定されている。東電の刑事責任を追及する会は8月31日、一審の無罪判決を破棄し3人を有罪とするよう求める要望書を東京高裁の刑事訟廷事務室に提出した。

 要望書では、一審判決の最大の問題点は「当時の社会通念を反映した法令上の規制等」の枠組みで原発の安全性を検討し、国の規制基準に従っていた原子力事業者の誤りを正当化したところにあると批判。検察官役指定弁護士の控訴趣意書が言う一審判決の「事実誤認」とは「本件のような重大な結果は絶対に引き起こしてならないという価値判断」に立った「高度の注意義務」が原発事業者に課されているという意味だ、と指摘する。

 結審後に出された東電株主代表訴訟の東京地裁判決や原発賠償4訴訟最高裁判決の三浦裁判官反対意見が「過酷事故を万が一にも防止すべき社会的公益的義務」「極めてまれな災害も未然に防止するために適切な措置を講ずる法的義務」に言及していることにも触れた。
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