2022年09月23日 1740号

【沖縄知事選 玉城デニー再選/県民の思いは1ミリもぶれていない=^普天間即時閉鎖し、辺野古を断念せよ】

民意は変わらない

 沖縄県知事選挙(9/11)で、辺野古新基地建設に反対する玉城デニー知事が再選された。岸田政権が全力で支援した基地容認の佐喜真淳候補と元衆議院議員下地幹郎候補を破った。投票率57・92%(前回から5・32ポイント減)、得票数33万9767票。得票率50・8%、佐喜真候補に約6万5千票の差をつけた。マスコミは開票を待たずに当選確実を出した。圧勝だった。



 選挙前、デニー候補の選挙母体「オール沖縄」や支援者は、7月の参院選で基地反対を掲げた伊波洋一候補が僅差で勝利したものの自治体単位では負け越しており、厳しい見方があった。しかも全国最悪の発症率を記録したコロナ感染症の拡大など医療崩壊の危機、経済への打撃などを現職デニー候補への批判材料にされた。岸田政権は沖縄振興予算を減額するなどデニー県政への圧力を加えていた。

 デニー支援者は、この選挙戦を岸田政権との闘いだと捉えた。相手候補は二人とも旧統一教会との関係が暴かれた。岸田政権同様、信頼に値しない人物であることを県民は理解した。「沖縄県民の思いは1ミリもぶれていない」。デニー知事は、基地反対を貫いた県民に賛辞をおくった。

「戦場」となる危機感

 争点であった辺野古について、出口調査(NHK)をみると、反対57%、容認43%。基地反対の沖縄県民の意志が、かつて戦場となった悲惨な経験に根差すものであることは間違いない。軍隊は住民を守らない。この教訓があらためて呼び起こされた。



 政府は対中国軍事緊張政策を強め、沖縄を「戦場」とすることを公然と語るようにさえなった。ウクライナ戦争を利用し、台湾危機をあおり、中国に向けたミサイル部隊を南西諸島(琉球弧)の島々に配置している。自衛隊幹部は「住民避難には手が回らない」と公言する。政府を信じては沖縄は再び戦場とされてしまう。こんな危機感がデニー支持者を固めた。

 政府を信用できないのは辺野古問題だけではない。米軍基地から放出された有害物質有機フッ素化合物(PFAS)汚染も重要課題だ。普天間基地がある宜野湾市では、国基準の40倍の濃度が検出されている(7/28FNNプライムオンライン)。住民は飲み水を買い、浴室のシャワーにフィルターを取り付けるなどの自己防衛を強いられた。住民の血液検査も市民団体が実施し結果が出るのを心配しながら待っている。「国民を守る」はずの政府は動かない。

 コロナ感染拡大への無策ぶり、公的医療体制の削減など危機は政府が招いたものだ。政府の言いなりでは、沖縄経済は好転しないことは目に見えている。

工事は完成しない

 辺野古新基地建設はどうなるか。知事を代え、設計変更を承認させ、速やかに大浦湾側の埋め立てに着手する政府の思惑はつぶれた。

 県は今、設計変更承認を求める国土交通大臣の是正指示は違法だと提訴している。少なくとも、この判決が確定するまでは、次のステップに進めない。判決が出ても、知事が承認しなければ、国交大臣による代執行が必要となる。例え、手続きが進んだとしても軟弱地盤はなくならない。「工事完成は不可能だ」(デニー知事)

 国交大臣の不当な関与については、関係住民も取消訴訟を起こしている。その中では県の不承認理由に加え、耐震強度不足や活断層の存在などの問題点を指摘している。

 政府は2019年末の時点で、工期9年3か月、工費9300億円と公表し、あたかも完成できるかのように装ってきたが、工法すら定まらず全く見通しはない。

  *  *  *

 知事選勝利は普天間基地即時閉鎖、辺野古断念を勝ち取る一歩だ。政府のウソを暴いていかなければならない。

 あわせて米政府が日本政府の虚偽説明を放置できない状況を作りだすことだ。全米最大の社会主義団体DSAとZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が取り組む辺野古反基地プロジェクト(ZHAP)署名、国内外87団体の米国連邦議会軍事委員会所属議員への書簡など、改めて国内外で普天間、辺野古問題を焦点化させていこう。なによりも軍事緊張を煽る戦争路線にストップをかけるために。
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