2022年09月23日 1740号【自民、統一教会「点検」のお粗末／肝心なことは聞かず隠蔽】 |
| 「１７９人以外は本当に何の関係もないのか」「幕引きの意図丸出しだ」。旧統一教会との関係をめぐり、所属する国会議員についての点検結果を自民党が公表したが、疑問や批判の声が相次いでいる。 茂木敏充幹事長は９月８日に会見を開き、点検対象とした３７９人のうち１７９人に教団との接点があったと認めた。このうち、議員本人が関連団体の会合に出席してあいさつをするなどした１２１人については氏名を公表した。 ただし、これは各議員の「自己申告」をまとめたものにすぎず、党が主体的に調査したものではない。閣僚経験者から「小さく見せようという意図がみえみえだ」（9/9朝日）といった声が上がるほど、不十分な内容であった。 アンケートの項目をみても、肝心な質問が抜けている。教団から議員秘書や事務所スタッフを受け入れていたとしても、報告対象になっていないのだ。 議員に対するスタッフの提供は統一教会の政界浸透工作の肝である。今回名前が挙がっている議員では、山際大志郎経済再生担当相が選挙ボランティアの提供を受け、現役信者の私設秘書が教団との窓口を務めているとの報道がある。ヤバいことは聞かないのが自民党の流儀らしい。 安倍元首相は対象外最大の問題点は、統一教会と自民党をつなぐキーパーソンである安倍晋三元首相を「点検」の対象外としたことである。岸田文雄首相は「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」（9/8衆院閉会中審査）と弁解する。だが、安倍元首相から教団の組織票を回してもらったとされる井上義行参院議員や宮島喜文前参院議員から話を聞くなど、確認方法はいくらでもあるはずだ。宮島前議員などは安倍元首相と面会した際のやりとりをメディアに語っている。聞けばわかる話なのだ。 党籍を離脱していることを理由に、細田博之衆院議長を調査対象から外したことも、癒着隠し以外の何ものでもない。細田議長は教団関連団体のイベントでスピーチしただけでなく、名誉会長も務めていた。安倍派の前会長でもある。叩けばホコリが出る程度では済まなかったのだろう。 ＊ ＊ ＊ 自民党は今回の「点検」結果をもって幕引きしたいようだが、世の不信感は逆に高まった。現職の国会議員だけでなく、手つかずの地方議員を含めて、反社会的カルト教団との関わりを明らかにすべきだ。もっとも統一地方選を来春に控えた党が取り組むとは思えない。これはメディアの仕事であろう。市民の突き上げも不可欠だ。  |