2022年09月23日 1740号

【みるよむ(631)2022年9月10日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク医療労働者のデモ 法に基づき権利と雇用を】

 2022年6月14日、バグダッドで、看護師や獣医師など医療関係者が政府に対し正当な賃金と雇用を要求してデモを行った。サナテレビはデモ参加者に取材し、保健・医療労働者の声を伝えた。

 医療関係の労働者が政府庁舎や国会のあるグリーン・ゾーンに何百人も集まり、デモを展開している。人々は「権利を与えろ、我々の意志が固いのは知っているはずだ」とシュプレヒコールを上げる。

 デモに参加した女性労働者は「低賃金で『息子に交通費を渡さなければならないのに、ポケットにお金がない』と目を真っ赤にしてやってくる人もいる」と言った。「仕事もなく路頭に迷っています」「国民のためにすべてを耐えてきましたが、もう限界です」と実態を訴える。イラクの医療現場で働く看護師たちの生活はこのような惨状なのだ。

雇用へ法の実行拒む政府

 看護師労働組合のフィラス・アル・ムーサウィさんは、中央任命法(2006年制定)第6条で政府は医療、保健、看護職の任命ができるのに実行していないと批判。「今日必要なのは、看護学校卒業生の雇用なのです」と呼びかけた。

 そして「私たちは最初の一歩の途中にいる。もし応答がなければ、私は真っ先に通りへ出て抗議する」と表明した。医療労働者たちは自らの生活をかけ対政府要求を鮮明にして、政府を追い詰めている。

 獣医学部の卒業生も実情を訴えた。政府が1989年から何十年も雇用を停止したために、「完全に閉鎖された動物病院が17軒ある」という。これでは、家畜の流行病などにも対処ができるはずがない。

 闘いは医療保健省による卒業生の採用にむけた政府の譲歩を獲得した。しかし、獣医学部卒業生の雇用は認められていない。医療関係労働者の闘いは続く。日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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