2022年09月23日 1740号

【ワツコ争議 勝利和解/あきらめず 声あげる意味を伝えた】

 ワツコ(株)による試用期間中のAさんへの不当解雇から約3年。長い闘いは、8月に大阪地裁で会社側の「解決金の支払義務を認める」等の内容が確認され、勝利和解で終結しました。

 2年数か月前にワツコ(株)は、2回目の団体交渉を一方的に途中で打ち切り、地位不存在確認請求の労働審判を京都地裁に申し立てるという驚くべき行動に出てきました。

 そのため、会社前での団交要請・抗議行動、近隣ビラ入れ、スーパー前宣伝行動等に継続して取り組みました。また、大阪地裁へ地位確認請求訴訟を応訴するとともに、大阪府労働委員会へ不当労働行為救済の申し立てを行いました。

 そして「支援する会」を結成して、支援の輪を広げてきました。「支援する会」では、悪化する若者の労働環境に焦点をあてたシンポジウムや総会を開催。今年の第2回総会では、ジャーナリストの竹信三恵子さんに「若者の雇用環境はなぜ悪化したのか」と題して講演をしていただきました。

 大阪府労働委員会が、ワツコ(株)の団交拒否は不当労働行為と認定した後、会社は団交には応じたものの、府労委から命じられた不当労働行為を繰り返さない旨の誓約書の手交を拒み、出席した会社役員2名は全く発言しない等、不誠実な対応に終始しました。

 これに対し、それまでの社前行動に加えて、ユーザー要請行動にも取り組むとともに、団交には参加者を増やして臨んできました。

 裁判最大の山場である証人尋問には、傍聴定員を超える参加者がありました。

 波多野進、團野彩子両弁護士には、労災認定、会社側を圧倒した証人尋問等、勝利和解に大きなお力添えをいただき、深く感謝いたします。

 ワツコ争議は、泣き寝入りしないという当事者Aさんの決意から始まりました。団交、裁判、労働委員会で、Aさんは会社からの誹謗中傷を浴びましたが、多くの人からの支援がAさんを励ましました。そして、Aさんの決意がまた、あきらめずに声をあげることの意味を多くの人に投げかけた闘いであったと思います。

 若者の労働環境の悪化が叫ばれていますが、若者からの労働相談は多くありません。

 この闘いの経験を、若者が人らしく働き続けられる社会をめざす今後の取り組みに生かせたらと思います。

 多くの皆さんからご支援いただき、本当にありがとうございました。

(なかまユニオン京都支部・小山敏夫)



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