2022年09月23日 1740号

【311子ども甲状腺がん裁判で追加提訴 「仕方ないとあきらめたくないから闘わないと」】

 福島原発事故の被ばくで甲状腺がんを発症し東京電力を相手に損害賠償を求めた311子ども甲状腺がん裁判第2回口頭弁論が9月7日に東京地裁で開かれた。傍聴を求めた157人の多くが入れず、弁護団は大法廷開催を要請した。

 今回も当事者が意見陳述。原告の女性は、小学校入学前に被ばくし、中学生で甲状腺がんと診断されて手術、高校生で再発して全摘出した。女性はついたてを挟んで、やっと出せるようになった声で陳述した。

 「1回目の手術は何より手術後が辛かった。ものを飲み込むときあまりに痛くて涙がぽろぽろ出た。2回目は甲状腺、リンパ腺を摘出。首の右半分の感覚がなく、びっくりした。アイソトープ(放射性ヨウ素内服)治療は副作用でのどの腫れがひどく声がかすれ、不安だった」と振り返る。「自分の考え方や性格、将来の夢もまだはっきりしないうちにすべてが変わってしまった。恋愛も、結婚も、出産も、縁のないものだと思っている」。何度か言葉を詰まらせ、最後に「半永久的に薬を飲まなくてはならないし定期的な受診も続く。この裁判で、将来私が安心して生活できる補償を認めてほしい」と述べた。

 報告集会で担当弁護士は「女性は『私の話が裁判官に伝わったらうれしい。支援ありがとう』とほっとした様子だった」と語る。

 6人の原告に加えこの日1人が追加提訴した。事故当時小学6年生の中通り出身の女性。過去3回の県民健康調査では「健康」と判断されたが、昨年になってがんと診断され片葉切除の手術を行った。女性は父から311裁判の話をされ「自分以外にも苦しい思いをしてる人たちがいるんだ」と知り、提訴に至ったという。担当弁護士は「本人は『仕方ないとあきらめたくないから闘わないと』と語っている」と紹介した。

 次回は11月9日。井戸謙一弁護団長は「100_シーベルト以下の被ばくでも健康影響があること、スクリーニング説や過剰診断説の誤りを批判していく」と報告した。

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