2022年09月30日 1741号

【県民有志が沖縄県知事候補に公開質問状/住民の未来は住民自身が決める/トークイベントから広がる思い】

 9月11日投開票の沖縄県知事選のさなか、8・10日の夜に「オンライントークイベント『県民有志から候補者への大公開アンケート〜私たちが考える争点・沖縄県知事選2022〜』が行われた。

 主催した実行委員会には、元山仁士郎さん(「辺野古」県民投票の会元代表)、町田直美さん(「PFAS汚染から市民の生命を守る連絡会」共同代表)らをはじめ参加協力団体・個人が参画。新垣仁美さん(ZENKOおきなわ)など「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」のメンバーも個人参加で運営を担った。

 知事選3候補へのアンケート(公開質問状)結果を基に議論する企画で、質問項目は▽県民投票▽遺骨土砂問題▽PFAS(有機フッ素化合物)問題▽基地問題の解決からエネルギー、ジェンダー平等まで26テーマ74問におよぶ。

 アンケートは8月15日に各選対事務所へ依頼。佐喜真候補は「新聞紙面等を参考に」と事実上無回答のため、下地、玉城候補の回答を中心とした論議となった。質問項目の起草者が評価と分析を行い意見交換した。

 例えば、PFASや米軍事故汚染については、玉城候補は「基地立入調査、汚染原因の究明と必要な対策の実施等を米軍に求めているが未だ実現せず。引き続き実現を求める」。一方、下地候補は「日米地位協定の抜本的改定」と答えているものの、具体的な方策は何も示していない。

正しい情報と危機感を

 10日のイベント最後にはゲストが今後に向けた意見提言を行った。

 ▽具志堅隆松さん(沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)「デニー候補は『沖縄が攻撃目標となるような事態は絶対にあってはなりません』と始め、最後は『平和的な外交に徹することを政府に訴えていきます』。日本政府はあてにせず、国連に訴え全世界から監視させるべき。肝を据えてかかっていかないと」

 ▽三上智恵さん(映画監督・ジャーナリスト)「産経新聞“南西有事”の記事(9/10)は、20倍の弾薬量にしないと現地では戦えない、離島奪還の兵站(たん)・火薬庫も必要量の1割しかない、と書く。考えてみてほしい。備蓄する大量の弾薬も、部隊が大量に搭載して南の海を目指す弾薬火薬類も、すべて私たちの島を焼くもの。県民や日本国民に正しい情報をインプットして、正しい危機感を持ってもらわないといけない」

 ▽楚南有香子さん(てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会共同代表)「沖縄の未来のための決定権が、ちゃんと沖縄にあるようにする政治家を、私たちは求めないといけない。基地問題も水問題も、私たちの人権の問題。そう訴える知事を選ぶ。今、一番危機感を抱くのは、若い世代は、なにゆえに主権者意識が少ないのか、何を見ているのか、を次の課題にしていかないと」

 ▽西尾慧吾さん(「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」呼び掛け人)「沖縄の選挙で思うのは、争点となっている課題は、すべて日本政府の問題だということ。この状況を、日本中の人に知ってもらいたい。今回の取り組みを、この県知事選で終わらせず、選挙後に全国の識者からさまざまな意見を寄せてもらい、日本全体の問題にしていくことが大切だ」

さらに多くの県民に

 トークイベントは、沖縄の新時代、未来をどう築くか∞二度と沖縄を戦場にさせないために何が必要か≠ニ考える県民や若者の裾野をさらに広げる取り組みとなった。

 事務局として今回の企画を担ったリンダさんは「YouTubeで今後も多くの方に見てもらいたい。知事選後も今回のテーマを踏まえ、もっと社会がよくなる方向へ進めていけたらうれしい」と感謝の言葉を述べた。
 知事選を契機に市民の運動は、今までの反基地・平和運動などを担ってきた人びとにとどまらない広がりを創り出しはじめている。

 「候補者への県民有志アンケート(公開質問状)」の結果


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