2022年09月30日 1741号

【みるよむ(632)2022年9月17日配信 イラク平和テレビ局in Japan トルコ軍によるイラク北部爆撃 バグダッドで抗議デモ】

 2022年7月、トルコ軍はイラク北部の観光地を爆撃し、何十人もの観光客が犠牲となった。ところが政府は市民を守る行動をとっていない。サナテレビは、バグダッドで展開された市民の抗議デモを取材した。

 日本ではあまり大きくとり上げられなかったが、トルコ軍は今回の侵攻で突然リゾート地のバラカを爆撃。観光客40人以上が死傷した。映像では、平和なリゾート地が爆撃されて犠牲になった子どもの衣服や破壊された椅子などが映し出される。

 市民はこの蛮行に抗議して即時に立ち上がった。バグダッドのトルコ大使館事務所前に集まり、抗議の声を上げた。若者たちはイラクのカディミ首相に対するメッセージで、「我々はトルコのエルドアン大統領に立ち向かう」と宣言した。

 トルコはなぜこのような市民の殺戮を行うのだろうか。トルコは、国境地帯でチグリス・ユーフラテス川の水の権益や経済的利権確保をめぐって、これまでもイラク国内への爆撃や砲撃を行い、市民を犠牲にしてきた経緯がある。イラク軍当局によれば、トルコ軍は5つの基地から国境を侵犯し続け、昨年は40か所、今年は100か所もイラク領内に侵攻しているという。

 ところが、イラク政府はこの蛮行にまともに抗議さえしていない。国連安保理でもトルコ軍による過去の違反と暴行についての苦情を通知しただけだ。トルコの行動を抑えるための何の措置もとっていない。

抗議はイラク政府にも

 市民の抗議行動は連続し、2日目には数百人が押し寄せ、トルコ大使館とイラク政府・議会が高い壁で守られたグリーンゾーンを臨みながら展開された。この抗議行動は、トルコに対するとともに市民の命と暮らしを守らない政府、そして腐敗した政治家たちに対する抗議行動となっている。

 自らの命を守る闘いに立ち上がったイラク市民に連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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