2022年09月30日 1741号

【日朝ピョンヤン宣言から20年/今こそ国交正常化交渉の再開を】

 小泉純一郎首相(肩書きは当時、以下同じ)が訪朝し、朝鮮の金正日(キムジョンイル)国防委員長と合意した「日朝ピョンヤン宣言」からちょうど20年の9月17日、都内で「今こそ日朝国交正常化交渉の再開を」と求める集会が開かれた(主催―朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動)。

 ジャーナリストで前参院議員の有田芳生(よしふ)さんが「拉致問題はなぜ解決しないのか 安倍政権の罪」と題して講演。「小泉訪朝が実現したのは、田中均・外務省アジア大洋州局長の約1年間にわたる30回もの極秘の水面下交渉があったから。安倍晋三官房副長官も知らされていなかった」と明かし、安倍政権の対朝鮮外交の失敗は「田中均さん憎しで外務省を信用せず、官邸外交にシフト。2017年9月の国連総会で安倍さんが『対話は北朝鮮がわれわれを欺く手段。必要なのは対話ではなく圧力だ』と決定的な発言をした」ことに原因があると断じた。

 その上で、日朝交渉を進めるには「救う会が方針を決め、家族会がそれを容認し、政府がそれを聞くという構造を崩さなくてはならない。すべての拉致被害者の即時一括帰国、などあり得ない」とし、このフィクションを世論の力で打ち破ろうと呼びかけた。

 ピョンヤン宣言の意義を改めて強調したのは、『世界』元編集長・岡本厚さんの講演。宣言の「日本側は植民地支配によって朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのお詫びを表明した」との文言について、「日韓条約のときは植民地支配の反省はなかった。その後、河野談話・村山談話・日韓パートナーシップ宣言という形で歴史認識を深めてきた過程の上にピョンヤン宣言がある」と指摘し、「日本政府は安倍時代から変わらなければならない。ピョンヤン宣言の精神、歴史を反省し東アジア・朝鮮半島の人たちと和解し平和の時代をつくっていこうという方針に戻ってほしい」と訴えた。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS