2022年10月07日 1742号

【みるよむ(633)2022年9月24日配信 イラク平和テレビ局in Japan 自治体退職者の怒り―未払い賃金の支給を求める】

 2022年7月、イラク全土から集まった各州の自治体退職労働者が、政府に対し未払い賃金の支払いを要求してデモを行った。サナテレビは、何年間も賃金を受け取れなかった労働者の怒りの声を伝えた。

 首都バグダッドに、退職した自治体労働者が全国から多数集まった。その人数は350人にのぼる。

 南部のバスラから来た退職者は「ISIS(いわゆる「イスラム国」)でも、フセインが独裁政治を行ったバース党政権の時でも、自治体労働者に賃金は払われたのに、現在のイラク政府からは賃金を受け取っていない」と憤る。

 これは、アバディ前政権の緊縮財政の下、閣議決定で自治体職員の給与支給が何年も中断されたからだ。長い間賃金が未払いだったことに怒り、抗議の声を突きつけているのだ。政府の閣僚会議に要求のメッセージを届けに行ったが、関係者は誰も出てこない。要求の受け取りすらしなかった。

 南部ディワニヤから来た退職労働者は「大学に通う娘や息子のためにお金を出してやれない」と訴える。賃金などの支払いを受けるカードを使おうとしたら「あなたは死んだ」と通告された。勝手に死亡者名簿に載せられていたのだ。

賃下げまで進行

 現在の賃金も、月75万ディナール(約7万3500円)だったのが40万ディナール(約3万9200円)に45%も引き下げられた。これではとても生活できない。労働者の扱いのひどさは「まるで子どもにポテト・チップスを買い与えるのと同じだ」と訴える。

 イラクでは新型コロナのパンデミックの中で医療や福祉などの社会サービスが切り捨てられている。失業者が増え、賃金は上がらない。何年間も賃金の未払いに苦しんできた自治体の退職労働者が支払いを求めて声を上げている。日本からも連帯していこう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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