2022年10月14日 1743号

【コラム見・聞・感/私たちは諦めない/廃線攻撃に地元の揺るがぬ決意】

 9月22日18時から北海道新得町で開催された「根室本線の災害復旧と存続を求める意見交換会」(主催―根室本線の災害復旧と存続を求める会)に参加した。根室本線は、2016年の台風災害以来、東鹿越(ひがししかごえ)〜新得で今もバス代行が続き、この区間を含む富良野〜新得の廃線が提起されている。

 意見交換会は、コロナ禍による中断を挟みながら年1〜2回開催されている。地元住民の廃線反対の意思を確認する重要な場だ。

 会の事務局長を務める佐野周二さんは、国鉄分割民営化の際JRに採用されなかった元国労帯広闘争団員。被解雇者が雇用・年金・解決金を求め、国鉄の法的後継法人、日本鉄道建設公団を提訴した「鉄建公団訴訟」の原告だった。佐野さんにとって根室本線の廃線提起は、自分の雇用を奪うことで発足したJR北海道が今度は地元の足を奪おうとする「第2の攻撃」だ。

 意見交換会では、平(ひら)良則代表が「JRは復旧のため何もせず、私たちが諦めるのを待っているだけ。彼らが諦めるのを待っているなら私たちは諦めない」と決意表明した。

 労組動員もなかったが、参加者は50人近くに上り、前回を上回った。貨物輸送や観光輸送に鉄路を役立てようとの意欲的「対案」も参加者から出された。

 JRが2016年11月に廃線提起した5線区のうち廃止届が出されていないのはここだけ。「住民と行政が連携しないと本当に廃線になる」(参加者)との危機感は強い。一方、他の4線区がすべて盲腸線(行き止まり路線)だったのに対し、この区間の廃線はつながっている線路を断ち切って直通できなくするもので影響は比較にならない。

 意見交換会に先立つ22日14時半から、北海道十勝総合振興局(帯広市)に根室本線存続と災害復旧を求める要請行動を行った。JR同様に何もしていない道庁の眠りを覚ますため、要請書には「JRを指導することは道の基本的責務」と書き込んだ。40分近くに及んだ要請。振興局は神妙な面持ちで「道庁本庁に上申する」と約束した。

 国鉄闘争終結から10年。元支援者・水樹と鉄建公団訴訟原告が再び連帯する闘いの形を作った。

 意見交換会では安倍国葬反対署名が28筆集まった。根室本線は10・5億円あれば復旧できるのに、安倍国葬に16億も使う政府。地元の怒りは噴出して当然だ。(水樹平和)
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