2022年10月14日 1743号

【カジノは日本のどこにもいらない/東京大行動に全国から200人/国交省請願で市民が迫る】

 「カジノは日本のどこにもいらない!東京大行動」が9月30日正午、衆院第2議員会館前でスタート。住民投票直接請求署名21万筆を集めた「カジノの是非は府民が決める 住民投票をもとめる会」の呼びかけに応えて大阪・横浜・和歌山・長崎などから約150人が結集し、2時間にわたって座り込んだ。

50市区町村代表が首都に

 大阪からは府内72市区町村のうち50市区町村の代表が参加し、声を上げる。

 「街頭で署名したら、いつの間にか受任者になり、ここまで来てしまいました」(豊能(とよの)町)「創価学会三世ですが、自分の子にカジノは残せないと思い必死で署名を集めました」(東淀川区)「私は夢洲(ゆめしま)のある大阪市此花(このはな)区出身。故郷にカジノを作らせないために、吉村知事の出身地で署名」(河内長野市)「定点で署名を継続し、がんばってきた」(能勢(のせ)町)「維新会派も同意して『大阪・夢洲地区区域整備計画について慎重かつ厳正な審査を求める意見書』が可決。ぜひ他の市町村も続いてほしい」(堺市)「維新市長が進める市役所移転条例案を否決した。カジノも止められると確信。沖縄の闘いに学び勝つまであきらめない」(枚方(ひらかた)市)―など、東京へ駆けつけた一人ひとりの思いが次々とリレーアピールされた。

 大阪府民の民意を示す市区町村ごとの署名数を記したプラカードもずらりと並ぶ。「大阪にカジノはいらない」「全国のどこにもいらない」のシュプレヒコールが国会前に響きわたる。

銀行は融資するな

 午後は銀行要請と国会議員要請へ。

 三井住友銀行と三菱UFJ銀行の各本店には、大阪府・市が誘致しようとしているカジノ事業への5500億円の融資を白紙に戻すよう求めた。三井住友に要請に入った「もとめる会」共同代表の西澤信善神戸大学名誉教授は「カジノ事業者は4200億円の儲けというが、賭けられた4200億円を巻き上げるだけ。プラマイゼロで、経済効果とは言わない。こんなものに巨額のお金を貸したら銀行は損をし、イメージも下がる」と諭した。銀行側は「個別の案件には回答しない」との対応に終始した。

 議員要請では、衆参議員会館の計28人の議員事務所を訪ね、「住民投票を拒否して暴走する維新を止めるため、土壌汚染やギャンブル依存症のことを追及してほしい」などと求めた。

「カジノはいらんばい」

 午後2時半からは参院議員会館で、国土交通省「特定複合観光施設区域整備計画審査委員会」に請願。▽カジノ誘致の区域整備計画を認定しないこと▽審査内容などの情報公開▽懸念する立場からの意見を聞き、公平公正な審査を行うこと―を要請した。

 関連の質問に国交省側は「(土壌汚染や地盤沈下の問題は)必要な程度に応じて審査で考慮対象」「事業に公費を入れるかどうかは一義的には地方自治体の判断」「(地域住民の合意形成は)大事な審査項目の一つ」などと回答し、「府・市とはやり取りしているのか」と逆質問。山川よしやす「もとめる会」事務局長は「府・市議会の多数派が住民の声を聞かないまま区域整備計画を申請。さらに直接請求署名を法定数集めたにもかかわらず、否決。だからこうして国のほうに来ている」と応じた。

 長崎の「カジノからふるさとを護る会」の原徹男代表は、1か月で集めた「長崎にカジノはいらんばい!!」署名2894筆を提出。「長崎はおとなしい、反対の意見が出ていないと言われるが、そうではない。国や自治体がこういう事業を行っていいのか」と問う。

 請願者側が「いくら入場規制しても、カジノをつくれば貧困者が生まれる」と重ねて追及すると、国交省担当者は「私も一市民ですので市民目線、市民感覚も大事にしたい」と口にせざるを得ない。山川事務局長は最後に「反対の人たちが意見を表明する機会を審査委員会としてぜひつくってほしい」と要望した。

 請願には、福島みずほ参院議員、宮本岳志衆院議員が同席し、発言した。記者会見には、大石あきこ衆院議員が加わった。

  *   *   *

 午後6時、日比谷公園をデモが出発。銀座・数寄屋橋交差点を経由し、東京駅に向けて「カジノはいらない」「どこにもいらない」と都民にアピールした。

 大行動参加者は総数200人。「もとめる会」共同代表の大垣さなゑさんは「これほどの人が直訴に。人と人が会うことが人の持つ力を高め、エネルギーになった」と強調した。参加者は、全国で闘う市民とつながったことで改めて確信と力を得た。



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