2022年10月21日 1744号

【原発避難者 国連特別報告者が会見 避難者の権利保障を強調】

 福島原発事故の避難者の状況について、日本政府の合意の下、9月26日から国連のセシリア・ヒメネス・ダマリ―特別報告者が訪日し調査を行った。10月7日、セシリアさんは離日にあたって日本記者クラブで調査の概要を発表した。最終報告書は来年6月の国連人権委員会に提出される。

 セシリアさんは国連で国内避難民の人権を担当している。記者会見で、原発事故被害者について「強制避難か自主避難かを問わず、国際法の下では等しく国内避難民として扱われる」と明言した。国や福島県は政策決定にあたり被害当事者の声を無視してきたが、セシリアさんは「避難者自身に影響を及ぼす決定には、参加し意見を述べる権利が保障されなければならない」と指摘した。

 住宅政策にかかわる記者の質問に対しては「2017年に住宅補助制度が打ち切られた。残念ながら一部には退去させるための訴訟がおこなわれている」とコメントし、「特に脆弱(ぜいじゃく)な世帯への住宅補助の提供などと基本的支援を継続すべきだ」と述べた。避難者数の把握にかかわって、「帰還の意思があるか否かと帰還できるかどうかは、全く別の問題。避難民として残るかどうかは、(避難元の)実際の状況を見て判断されるべきこと」とし、残る者へ避難者としての支援の継続を示唆した。

 また、「日本には(救済の)法律はできているが、実施されずに書類上にとどまっている」と懸念を表明。国際法に照らして活かしていく必要性を指摘した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS