2022年10月28日 1745号

ウクライナと世界のための平和アジェンダ(抄訳)/ウクライナ平和主義者運動/2022年9月21日国際平和デー 採択】

 ウクライナ平和主義者運動は平和に生きる権利、軍縮、徴兵制廃止、暴力によらない紛争解決、軍事の民主的文民統制の促進を目的とした非政府・非営利・無党派の組織である。

 私たちウクライナの平和主義者は、平和的手段による戦争終結、良心的兵役拒否の権利保障を要求し、闘う。

 戦争ではなく平和が人間生活の規範である。戦争は組織的な大量殺人だ。いたるところで道徳の羅針盤が失われ、戦争と軍隊への自滅につながる支持が高まっている今日、私たちが良識を保ち、非暴力の生き方を堅持し、平和を築き、平和を愛する人びとを支援することがきわめて重要になっている。

 国連総会はウクライナに対するロシアの侵略を非難し、ロシアとウクライナの間の紛争を即時平和的に解決するよう求め、紛争当事国が人権と国際人道法を尊重しなければならないと強調した。私たちもこの立場だ。

 絶対的な勝利まで戦争しようとする現在の政策は容認できず、変えなければならない。必要なのは停戦と和平交渉、対立する双方が犯した悲劇的な過ちを正す真摯な取り組みである。戦争の長期化は壊滅的で致命的な結果をもたらし、ウクライナだけでなく世界中の社会の福利と環境を破壊し続けることになる。

 交戦中の軍隊をどちらの側であれ擁護するのは間違っている。平和と正義の側に立たなければならない。自衛は非武装・非暴力で実行でき、実行すべきだ。残忍な政府はすべて違法であり、領土の全面支配・征服という幻想のために人びとを抑圧し、血を流すことは正当化できない。相手のせいで犠牲になったと主張することで自らの犯罪の責任を逃れることはできない。

 ウクライナでは良心的兵役拒否の権利は平時においても国際基準に沿った保障がなされなかった。戒厳令下の現状ではなおさらだ。国は恥ずべきことに、国連人権委員会の提案や市民の抗議に対し何十年も真剣な対応を避けてきた。国際人権規約にあるように、国は戦争やその他の緊急事態の時でさえこの権利をはく奪することはできない。
 ところが、ウクライナの軍隊は広く認められた良心的兵役拒否の権利を尊重せず、ウクライナ憲法に直接規定された強制的兵役の非軍事的役務による代替さえ否定する。こうした恥ずべき人権無視は、法の支配の下ではあってはならないことである。

 ウクライナ軍の専制と法律無視は、従軍拒否への嫌がらせや刑事罰、一般市民の強制徴用の政策に明らかだ。市民は、たとえ危険回避など緊急の必要があったとしても、国内を自由に移動することも海外へ行くこともできないのである。

 世界の政府と市民社会はNATO(北大西洋条約機構)加盟国とロシア・中国との対立という泥沼に引きずり込まれ、戦争の惨劇の前に無力に見えた。この惑星のすべての生命が破滅するという核の脅威がありながら、狂った軍拡競争に終止符を打つことができず、地球の平和の中心的機関である国連の予算が30億ドルにすぎない一方、世界の軍事支出はその何百倍、2兆ドル超というとてつもない額に上る。国家は人びとに殺人を強要し大量殺戮を組織する存在であり、非暴力の民主的統治や人びとの生命と自由を守る基本的な機能の遂行はできないことがはっきりした。

 すべての平和運動の目標は、殺人を拒否する権利を守り、ウクライナ戦争と世界のすべての戦争を止め、地球のすべての人びとのために持続可能な平和と発展を確保することであると考える。私たちは、この目標を達成するため、悪に関する真実と戦争の欺瞞を伝え、暴力のない平和な生活についての実践的知識を学び、教え、困窮者とくに戦争や軍隊支援・戦争参加の不当な強要によって被害を受けた人びとを支援する。

 戦争は人道に対する罪である。私たちはいかなる戦争も支持せず、戦争のすべての原因の除去に尽力することを決意する。
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