2022年12月02日 1750号

【さかいみほのじゃらんじゃらんinインドネシア ジャカルタ編その11 閑話休題―バリは休暇で過ごすのがおすすめ】

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。11月に入り季節の変化がようやく感じられるようになりましたね。なんとも短く感じられる秋ですが、紅葉を愛でつつ、今が一番の芋や栗を味わって頂いています。

 さて、このコラムを書いている今、ちょうどインドネシアが世間の耳目を集めています。というのも、G20(Group of Twenty、20か国・地域による金融・世界経済に関する枠組み)サミットがインドネシアのバリ島で開催されているからです。今回は、2021年12月からの議長国として、インドネシアの最後の大仕事が首脳級会合となり、これが終わると、次の議長国はインドへ引き継がれます。

 バリと言えば、華美な踊り子が優雅に舞い、南国のビーチでのんびりする手頃なリゾートという感覚でしょうか。それとも買い物三昧、夜はクラブで楽しむこともあるかもしれませんね。02年には大きな爆弾テロ事件もありました。

 バリは、観光にとても力を入れている州です。海外からの観光客もさることながら、国内でも大人気の観光地です。移動が制限されたコロナ禍で、当然ながらバリ経済は大きな打撃を受けました。こうして再び対面で世界の首脳がバリに集まりやり遂げたというのは、バリのみならず、インドネシアにとってはとても喜ばしく誇らしいことなのですね。

 1965年の9・30事件後、赤狩りの嵐が吹き荒れましたが、被害が大きかった地域の一つがバリだとも言われています。当時国民党と共産党の権力闘争が激しく、またジャワ島と接する島西部ではムスリムが多かった等様々な背景があるためです(東南アジア研究者のジェフリー・ロビンソンUCLA〈カリフォルニア大学ロサンゼルス校〉名誉教授や倉沢愛子慶応大名誉教授の著書に詳しい)。あなたが寛(くつろ)ぐビーチの下には、今でも被害者の遺骨が埋まっているかもしれませんよ。

(筆者は2020年までインドネシア在住)

タナロット寺院の夕暮れ時に始まる、伝統舞踊の一つ、ケチャ。
大勢の男性が輪になって「チャッ、チャッ」の掛け声のみで踊り、その中心では別の踊り手により叙事詩ラーマーヤナのストーリーが演じられる。

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