2022年12月16日 1752号

【2022ZENKOスピーキングツアーにのべ800人/「戦争」の危機感を共有/平和の闘いを足元から】

 2022ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)スピーキングツアー(11/26〜12/4)が全国9会場で開催され、オンラインを含めのべ約800人が参加した。沖縄・南西諸島(琉球弧)軍事要塞化の進む現地で闘う9人が報告。軍事費2倍化・敵基地攻撃能力保有に突き進む岸田政権に対抗する重要な取り組みとなった。(3〜5面に関連記事)

大阪/自公・維新を倒し平和を創る/夢洲カジノを市民の力で止めよう

 ツアー最終日の大阪集会(12/4)では、海外からの連帯メッセージや種子島での闘いの報告の後、大阪での取り組みが報告された。

 12月の沖縄県民辺野古大行動に参加した若者は「他人と話すのが苦手なことを克服して、沖縄の現状を訴えていく」と決意を表明。来年2月の「ZENKOユース沖縄参加団」への参加を呼びかけた。

 「大阪夢洲(ゆめしま)カジノ誘致の是非を問う大阪府民の声『見える化』大作戦」に取り組む大阪市城東区、枚方(ひらかた)市、茨木市のスタッフが「この取り組みこそが維新政治を変える」と改憲勢力維新を倒す展望と確信を報告した。

 ▽ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)賛同署名▽朝鮮戦争終戦平和キャンペーン賛同署名▽ZENKOユース沖縄参加団、沖縄平和参加団への参加▽ノーモア沖縄戦 命こそ宝の会への賛同▽2023年統一地方選挙で維新・自公に勝利し、大阪カジノ誘致計画を撤回させよう―と行動提起。

 ZENKOの山川よしやすさんが「沖縄・琉球弧の闘いに学び、私たち市民が民主主義を取り戻す闘いを足元から創っていこう」とツアー全体をまとめ、集会を終えた。


基地受け入れ―公約違反の市長リコールへ/戦争をさせない種子島の会 和田香穂里さん

 琉球弧の北端、薩南諸島に属する種子島の西約10`bにある離島が馬毛島(まげしま)。1950年代から80年までは小中学校もあった。豊かな漁場だったので種子島の漁師は「宝の島」と呼んでいました。渡り鳥の休憩地やウミガメの産卵地でもあります。

 自衛隊馬毛島基地は、琉球弧の要塞化における軍備、物資、隊員等の集積展開拠点です。島嶼(とうしょ)防衛とは、島を守るのではなく、島を前線にして国を守るということです。自衛隊の幹部が「台湾をめぐる有事になれば、自衛隊に住民を避難させる余力はない。自治体にやってもらうしかない」と言っていたとおり、戦争が始まれば住民の避難は事実上不可能。

 馬毛島のある西之表市の八板俊輔市長は1期目終盤である2年前の10月に「(国の米軍再編)交付金は騒音など顕著な基地被害を積み重ねないと算定されません。被害と引き換えに、はじめて手にすることができるのです。基地経済に依存しない街づくりこそ持続可能な社会への希望」等と述べていました。普遍的な見解だと思っています。

 ところが2期目に入り、防衛省に協力して基地建設を事実上「容認」する姿勢に転じました。議会は基地賛成派、反対派が同数の中、反対派が議長を出してしまい賛成派が1人多く議決権を行使できるため、市有地を国に売却する議案などが可決されてしまいました。

 先日「市長に辞任を要求する西之表市民の会」を設立。私も請求代表者になって11月28日には「市長解職請求書」を提出しました。リコール署名の期間は12月1日から1月1日までです。

 公約を反故(ほご)にする市長は市のトップとして相応しくありません。大阪でのカジノ反対運動の「見える化」作戦に学び、自衛隊馬毛島基地建設と米軍FCLP(陸上空母離着陸訓練)移転を何としても阻止していきたい。


兵庫/軍民分離の原則に立ち戻れ/宮古島市議 下地茜さん

 兵庫集会(11/28)では、宮古島市議・下地茜さんのオンライン講演に、地域から西宮写真展開催(7面に投稿)、宝塚市遺骨土砂意見書陳情採択、西宮市政変革の運動などで応えた。「南西諸島ミサイル要塞化の現状」と題した下地さんの報告要旨を紹介する。

 *   *   *

 私は今、宮古島に住んでいる。宮古島の保良(ぼら)に基地が作られようとしている。2021年、沖縄防衛局は「弾薬庫で騒音は出ない」と説明していたが、3か月しないうちに音の出る火砲訓練をした。国会議員、メディアも入れて、沖縄防衛局に申し入れに行き、訓練は止まった。申し入れの成果だった。

 宮古島のある南西諸島はミサイルが配備され、中国に圧力をかける動きになっている。有事の最前線となった。「台湾有事」では軍事施設、弾薬庫、港湾が狙われるだろう。

 自衛隊は国防が任務であり、住民保護は自治体が行うことになる。宮古島住民5万5千人の避難には22日かかる。また、避難後に戻ってこれるのか疑問だ。硫黄島は戦時中、住民が避難したが、戦後戻ってきた人はおらず、自衛隊基地となっている。インフラ復旧ができなかったからだ。

 自衛隊の地下施設を住民避難シェルターに使えなどの意見があるが、ジュネーブ条約違反だ。軍民分離の原則に立ち戻りたい。

 今の状況は、過去のキューバ危機に似ている。軍拡がさらに軍拡を招いている。結局は軍縮でなければおさまらない。

 「沖縄の人だけが基地建設反対の運動をしている」と同情するかのように言われると複雑に感じる時がある。原発の反対運動をやっている人たちと割と思いが同じと感じる。取り組んでいる内容は違うけれども、例えばカジノ誘致反対に声を上げている人たちに勇気づけられる。自分のいる所でやっていることが大事なんだと最近思っている。


滋賀/作られた自衛隊歓迎の世論/奄美ブロック護憲フォーラム代表 関誠之 奄美市議

 滋賀集会(12/1)のゲストは奄美市議会議員、奄美ブロック護憲フォーラム代表の関誠之さん。「軍事要塞化される奄美大島」と題したお話を聞きました。

 奄美大島の軍事要塞化は2014年から始まります。奄美市議会で「陸上自衛隊配備を求める意見書」が採択。更に「奄美市に陸上自衛隊を誘致する連絡協議会(奄美大島商工会議所等)による防衛省への「要望書」提出。これ以降、一気に自衛隊施設の工事が始まりました。

 19年からは自衛隊の行軍訓練(鎮西26演習)等、21年7月「オリエント・シールド(東洋の盾)」、20年10月、22年11月には「キーン・ソード(鋭い刃物)23」の日米共同訓練が行われる事態に至っています。

 12団体が名を連ねた陸上自衛隊誘致の要望書は、1団体以外は電話1本で了承を得るという姑息なやり方で作られたもの。元自衛隊員佐藤正久参議院議員が島入りし画策していたと批判。登下校の時間に行軍訓練を行い自衛隊の存在を受け入れさせていると怒りをこめて話されました。

 「キーン・ソード23」を取材するメディアを自衛隊が仕立てたマイクロバスに乗せ、『広報』の腕章をつけた隊員が解説をする。「見せたいところだけ取材をさせるやり方。大本営発表のようだ」と語られました。

 関さんら市民は14年当初から、自衛隊・ミサイル配備の賛否を聞く「シール投票」(8割が反対)や世界自然遺産登録の島である奄美大島の環境を破壊するなと自衛隊施設の建設差し止め仮処分申し立てなど軍事化進行に抗してこられました。

 参加者からは「奄美で何が起こっているのか、知らなかったことがあまりにも多く衝撃を受けた。知ること、行動することにつなげていかなければならない。知るという機会を与えて頂きありがとうございました」との感想が寄せられました。
 ウクライナ戦争を利用し「有事に備える」と軍事拡大・戦争社会を受け入れさせようとする岸田政権にNOを突きつける取組として成功しました。

(ZENKO・滋賀 岩崎晴彦)

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