2022年12月16日 1752号

【未来への責任(363)遺族は遺骨土砂基地使用を許さない】

 11月26日沖縄県糸満市内で行われた遺骨土砂問題での糸満遺族公聴会は大成功した。私も参加し司会をした。35人を超える遺族が参加し、次々と南部土砂問題への意見を述べた。「戦争のことを思い出すと夜も眠れない。思い出すのも嫌だけど、ここに来なければならないと思ってきた」「南部に逃げろと言われ、南部に逃げた。たくさんの人が死んで折り重なっていた。南部の土地には血が染み込んでいる。そんな土地を戦争基地の埋め立てに使うなんて絶対に反対だ」と語る沖縄戦体験者。「おじいさんのお墓には石が骨の代わりに入れてある」「南部の土砂には魂がこもっている」「ガマの中にあちこちで遺骨があった」…次々と体験が語られる。

 遺族から大きな拍手が起きた場面がある。「辺野古の基地反対のためにやっているんだろうと言う話がある。もう那覇飛行場で使っているじゃないかという話があるが、自分はそんな話を聞くと我慢できない」という話に、「私は遺骨土砂が民生で使われるのはまだ我慢できる、でも戦争の基地のために使われるのは許せない」。この意見に同じ立場の遺族から一斉に大きな拍手が起こった。

 遺族の皆さんは、戦没者の遺骨混じりの、戦没者の血が染み込んだ土砂を戦争に使われることが絶対に許せないのだ。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅隆松さんが発言する。「先日、本土の遺族を玉砕の場所に案内した。遺骨土砂について、そのご遺族は、沖縄の方が畑に使うと言うなら納得する、でも戦争の基地に使われるのは絶対許せない、とおっしゃっていた」

 今公聴会は、7月に行われた南風原(はえばる)町に続き2回目。遺族の思いが大きな言葉になってきている。「遺骨土砂、血の染み込んだ土砂を戦争のために使うな。戦没者の尊厳を守らねばならない」ということだ。
 翌日、沖縄タイムスが報道した。テレビ局が3社入り公聴会後もご遺族にインタビューが続いた。公聴会は今後、那覇や北部へと続いていく。来年1月18日、糸満公聴会の意見は防衛省との意見交換会にぶつけられていく。

 具志堅さんは浦添西海岸の米軍軍港建設に遺骨土砂が使われることに反対することを訴える。東の辺野古、西の浦添。戦没者の尊厳を守るために遺族と沖縄県民とともに取り組んでいきます。

(戦没者遺骨を家族の元へ連絡会・上田慶司)



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