2022年12月16日 1752号

【子ども脱被ばく裁判・控訴審/「子どもたちの未来のために」/“子ども人権裁判”は2月1日に判決】

 11月14日、原発事故で子どもたちを被ばくさせた責任を問う、子ども脱被ばく裁判・控訴審の第5回期日が、仙台高裁で開かれた。

 昨年3月1日、福島地裁が根拠もなく「年20_シーベルト基準は直ちに不合理とは言えない」「違法な侵害があるとは認められない」と不当判決を行ったことへの控訴審だ。進行中の3・11子ども甲状腺がん裁判とともに、当事者が健康被害を問う意義を持つ。

 もともと2つの裁判から成り立っていたが、この日の審理は、被ばく責任を巡る国家賠償請求訴訟(親子裁判)。もう一つの裁判は、放射線被ばくの心配をしなくてもよい安全な場所での学校教育を求めた行政訴訟(子ども人権裁判)で、9月12日結審し、来年2月1日に判決予定だ。

 原告側弁護団が証人尋問を申請していたのは、内堀雅雄福島県知事(事故当時の副知事)以下5人。▽県の責任者としての判断▽「年20ミリシーベルト以下なら学校を開いてよい」とする文科省通知への関わり▽県の学校再開の経緯―等を立証するためだ。

 しかし、石栗正子裁判長は「立証趣旨については理解」と口にしつつ採用を拒否。傍聴席は大きくどよめいた。弁護団は、国内避難民に関するセシリア国連特別報告者の声明(10/7)内容も含め準備書面を提出する。

子どもたちのために

 報告集会で井戸謙一弁護士は「行政の判断過程で責任者への証人尋問は欠かせないと考えていた。『裁量権の逸脱・濫用』に関して、裁判所が非常に安易に考えている印象を持たざるを得ない」と心境を語った。

 原告の荒木田岳さん(福島大学教授)は「私たちが裁判で求めていることはシンプルで、無用な被曝はしたくないということ。裁判所には『あなたも放射能を浴びせる側に立つのか』と問いたい」と声を荒げた。

 5月18日の第3回口頭弁論で意見陳述した佐藤美香さんは「自分の体調は悪くなっているけれど、この裁判を全国から支援してくれるから、がんばれます。子どもたちの未来のために、ぜひ勝ちたいです」と判決への思いを語った。

 “親子裁判”の次回期日は来年3月27日。



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