2022年12月16日 1752号

【コラム見・聞・感/統一教会と原子力ムラを結ぶ自民党と細野豪志】

 民主党政権で原発事故担当相を務め、誰よりも原発事故の過酷さを知っているはずの細野豪志衆院議員が今、「再エネに絶望」し、原発再稼働を推進するなど180度姿勢を変えている。

 今年8月12日付『現代ビジネス』で、細野議員は各地で乱開発、盛り土による土石流などのトラブルが絶えない大規模太陽光発電に「絶望」し、電力不足の解決のため「原発再稼働一択」と主張している。細野氏の発言はこれにとどまらず、福島原発の汚染水も「海洋放出しかない」など事故被害者、避難者の感情を逆なでする発言が続く。

 細野氏が明らかに逆流≠オ始めたのは民主党政権崩壊後の2013年頃だ。私の手元に細野氏の地元、静岡県選挙管理委員会の2014年1月28日付け受理印が押された政治資金収支報告書がある。細野氏の政治団体「伊豆政策研究会」に対し、木下義昭なる人物から3万円の寄付が行われたことが記載されている。

 木下氏が当時『世界日報』社長であったことはすでに知られている。言うまでもない旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」)の事実上の機関紙である。

 その世界日報に、細野氏はたびたび登場している。2018年1月3日付け世界日報「新春政治座談会 待ったなし!憲法改正」では、中谷元(げん)・自民党改憲本部長、馬場伸幸・日本維新の会幹事長らとともに改憲に向け気勢を上げている。2021年3月16日付け世界日報でも「元原発事故担当相」として単独インタビューに応じている。

 政治家である以上、望まない形で特定団体の機関紙に紹介されることはあるとしても、インタビューや座談会の企画にまで応じるのは明らかに一線を越えている。多くの被害者を出し、安倍元首相殺害事件の遠因ともなったカルト宗教団体となればなおさらだ。

 福島で事故を経験した私の目には、原発事故被害の隠蔽・否定を繰り返し安全デマ・フェイクを流してきた「原子力ムラ」と統一教会はカルトの同類≠ノ見える。その2つのカルトの結節点に自民党がいるという政治構造が明らかになってきている。

 私は、(1)木下氏を世界日報社長と知っていて寄付を受け取材にも応じたのか、(2)元原発事故担当相がなぜ原発推進に変わったのかの2点について、細野事務所に質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。

  (水樹平和)
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