2022年12月16日 1752号

【ZENKOスピーキングツアー/沖縄・全国を戦場にさせないと連帯】

沖縄戦再来の危機寸前に 非武装・無防備の思想へ 沖縄

 12月3日、沖縄会場で石原昌家さん(ノーモア沖縄戦 命〈ぬち〉どぅ宝の会共同代表)は冒頭、「ついに沖縄戦再来の危機が寸前まで来ていることを、話さざるを得なくなった」と切り出した。

 11月30日の地元テレビのニュースは「キーン・ソード23」演習で自衛隊の戦闘車が乗り込んだ与那国島の映像。沖縄戦の最中に避難した自然洞窟を再び「整備しなければいけなくなった」と高齢の地元住民が話していた。昨年5月、沖縄戦の研究者である石原さんは別のテレビ局に協力し激戦場、首里大名(おおな)の自然洞窟を案内。少年時代に遺骨や黒焦げの服を目撃した場所でインタビューを受けた。その場所と与那国の洞窟がそっくりだったのだ。

 石原さんは、1972年の「復帰」当時は自衛隊の配備に猛烈な反対運動が展開されたが、現在は自衛隊を容認する空気が広がっていると警鐘を鳴らした。

 一方、沖縄では1953年に「戦争絶滅/人類共存」を掲げた世界の軍備撤廃運動が提唱されていたことを振り返る。また、宮古島の中学生が県全戦没者追悼式で平和を訴えた詩を朗読し誹謗中傷攻撃を受けたが、自分の精神的苦痛の中から武器を置く・無防備の考えに到達した詩を発表して新聞に掲載されたことを報告した。国際人道法に基づく無防備地域宣言を紹介し、若い世代に戦争体験を伝え軍隊・戦争を許さぬ働きかけを強めようと訴えた。

 約40人の参加者の間で活発な意見交換が行われた。

 午前に辺野古キャンプ・シュワブゲート前大行動に参加し、駆けつけた上間芳子さん(沖縄平和市民連絡会)は「(辺野古は)米軍の基地と言っているが自衛隊が必ずこれを使う」と批判。若い人たちに基地と自衛隊に反対するように話していこうと呼びかけた。

 ZENKOおきなわは、ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)署名や朝鮮半島平和宣言署名、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」への賛同を広げること、ミサイル要塞化写真展の県内各地での開催を提起。ZENKO参加団はこの日の辺野古大行動、2日の宮古空港自衛隊使用抗議の県庁前行動にも連帯参加した(詳報次号)。

(ZENKO事務局・森文洋)


新基地阻止は次の戦争を止める力/連帯の輪を全国・世界に/神奈川

 11月29日神奈川集会のゲストスピーカーは「安保廃棄・沖縄県統一連」事務局長の瀬長和男さん。オール沖縄会議のキャンプ・シュワブ工事用ゲート前抗議行動責任者として「勝つまで諦めない」非暴力の座り込みを続ける。

 瀬長さんは「沖縄は土地も海も空も、PFAS(有機フッ素化合物)汚染が示すように安全な水さえも奪われている。辺野古関連工事のほとんどは談合に等しい落札率で、利権の構造は明らかだ。辺野古を自衛隊基地として残すことも目的の一つ」と指摘し、「新基地建設を止めることは可能だ。玉城デニー知事は全国キャラバンを再開した。訪米団の派遣も再開できる。オール沖縄会議が始めた国会請願署名に協力を。連帯の輪を全国に、世界に広げたい。新基地建設阻止は次の戦争を止める大きな力になる」と決意を述べた。

 会場からの「市長選でオール沖縄の候補が敗北しているのはなぜ」との質問には、「県への再編交付金が国の裁量で減らされる一方で、市町村に県を通さず直接交付する仕組みを作り、“国とのパイプ”を主張する候補が有利に。政権が乗り込み、官邸機密費を含めてお金の心配をせずに選挙運動をする。国を相手に勝ち切るだけの体力をつくらなくては」と応じる。

 地域の取り組みの報告は「島ぐるみ会議と神奈川を結ぶ会」の仲宗根保さん、温かい中学校給食実現をめざす「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」のコント・ペア「みかん日報」と共同代表・青島まさはるさん、沖縄戦跡資料展を開催したZENKO東京南部などから。画家の山内若菜さんは地元・藤沢市で展示中の作品「神々の草原〜トリニティ〜」「江島(えのしま)縁起 龍と天女」をビデオメッセージで紹介した。

 瀬長さんには、ZENKO南部作成の「あきらめない!」「とことん共に!」と染め抜かれたTシャツが贈られた。


徹底した非暴力で抵抗 みなさん ぜひ安和、塩川に 広島

 12月2日広島集会では、名護市島ぐるみ会議・あつまれ辺野古の西浦昭英さんが「沖縄の基地問題と非暴力の抵抗運動」を報告した。

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 仮に日本全体の人口を100人とすれば、人口比でみれば沖縄県人が1人、その他が99人となる。米軍基地負担を全体で100`の荷物に例えれば、そのうちの70`を1人の沖縄県人が背負い、他の99人で残りの30`をシェアーしていることになる。つまり沖縄県人以外は1人0・3`。1人当たりで言うと231倍もの重荷を沖縄県人に押し付けていることになる。これは差別以外の何物でもない。

 暴力の最たるものである戦争を阻止するには、徹底した非暴力で抵抗する。

 週の半分は辺野古で、半分は安和(あわ 名護市)でカヌーを出している。辺野古ではカヌーで土砂を運ぶ船の入るフロートの開口部を閉じる抵抗行動。安和では桟橋の下にカヌーで潜りこみロープを編んでくくり付け、それをほどかなければ運搬船が出られないようにする抵抗をしている。安和の地上では、ダンプの出口の道路を数人で牛歩する。何もしなければ1日1100台が通るが、牛歩で900台にしている。

 これらを、多くの警備員、機動隊、海上保安官らが動員されて警備する。漁師も5万円の日当で船を出している。高江の24時間警備を含め1日2千万円の税金が警備に使われている。

 11月21〜22日に本部島ぐるみ会議が中心になって塩川デーが取り組まれた。塩川港(本部町)は安和よりも遠いので普段なかなか人が集まりにくい。塩川では土砂搬入のトラックは1日900台。それが数人だけでも集まれば600台に抑えられる。当日は県内外から百数十人が集まり、何と200台にまで押しとどめることができた。

 ぜひみなさん、安和、塩川に来てください。

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