2022年12月16日 1752号

【労働法制の破壊 許さない/雇用共同アクションなどが政府要請/裁量労働制 拡大するな/非常勤講師雇い止め やめさせよ】

 「新しい資本主義」の名による労働法制の破壊を止めようと、雇用共同アクションと国民春闘共闘委員会は12月2日、厚生労働省などへの署名提出・要請行動に取り組んだ。

 来年の通常国会には裁量労働制の対象を拡大する法案の提出が見込まれ、労働政策審議会では「解雇無効時の金銭救済制度」が本格審議されようとしている。

 首都圏なかまユニオンの伴幸生委員長は、「ジョブ型雇用」の外資系S社を例に「指示された時間内に業務が終わらなければ残業するしかないが、『会社の収益を圧迫する』からと残業はさせない。『自己管理』のサービス残業が際限なく続く。企業が労働時間規制を免れる仕組みをつくるとどんな社会になるか。長時間労働で人が死ぬ。裁量労働制の拡大は命の問題だ」と告発する。

 解雇の金銭解決をめぐっては、NECの子会社に不当解雇された伊草貴大(たかひろ)さんが「解雇で失ったのは職だけではない。一緒にテニスをしていた仲間から仲間外れにされ、付き合っていた女性に振られた。裁判で解雇無効の判決が出たが、失ったものは帰ってこない。そもそも解雇自体やってはいけない。苦労してかちとった判決をお金で解決しようなんて絶対に許せない。小さく産んで大きく育てる―そのうち使用者側も申し立てが可能になるのは目に見えている」と訴えた。

 厚労省側は「裁量労働制は労働者に時間配分の裁量がある業務に限定されている」「解雇は人生設計を狂わせる重大問題。金銭解決導入ありきで進んでいるものではない」といった弁明に終始。全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長は「むしろ検討すべきは就労請求権。雇用だけ継続し仕事をさせないことがまかり通っている」、伴委員長は「東リ偽装請負争議の判決が確定したが、東リは自宅待機命令を出し、就労を認めない。そういう企業には厳しい制裁を加え、指導すべきだ」と重ねて求めた。

 文部科学省に対しては、大学教員・研究職の大量雇い止めをやめさせるよう要請。労働契約法に基づく無期雇用転換が認められず解雇通告を受けた東海大学非常勤講師がビデオで「労働の価値を踏みにじられ、尊厳を傷つけられている。教えることへの希望が持てない」と発言した。

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