2022年12月23日 1753号

【1753号主張 国の形を変える軍事3文書/岸田戦争国家を止める】

9条全面破壊の閣議決定

 岸田政権は、12日16日にも「安保(軍事)3文書」を市民も国会も全く無視して閣議決定する構えだ。

 政府が外交・軍事政策の基本方針とする「国家安全保障戦略/国家防衛戦略/防衛力整備計画」の3文書に、従来の政府見解すら覆し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記する。

 政府の言う「反撃能力」は自衛のためではない。「相手国が攻撃に着手した」と判断する場合のみならず、日本への「攻撃の意思」が示されずとも米軍支援=集団的自衛権発動としての行使も可能とされる。

 まさに先制攻撃能力だ。

 交戦権を否定した憲法9条を全面的に壊し、「専守防衛」の縛りさえかなぐり捨て、本格的な戦争国家に踏み出す安保(軍事)政策の大転換だ。暴挙を許してはならない。

命と生活壊す戦争国家

 この大転換は、国の形を変える。政府は「防衛力整備計画」で5年間総額43兆円の大軍拡も明記。そのうち約5兆円は、米国がイラク戦争などで先制攻撃に使用した巡航ミサイル・トマホーク購入を含めた、中国に届く長距離ミサイル配備経費だ。5年後には、軍事費は単年度で現在の2倍、約11兆円となる。財源は、医療・福祉・教育予算の削減とアジア・太平洋戦争時の戦時増税と同じ戦争のための大衆課税だ。

 岸田首相の目玉政策「子育て予算倍増」は先送りする一方、75歳以上の医療費窓口負担は倍増、介護保険の大幅負担増、年金の削減など社会保障の切り捨ては全分野にわたる。物価対策や賃上げ、コロナ対策は無策のまま放置。大軍拡のツケはすべて民衆に回され、命とくらしが破壊される。

 また、政府が狙うマイナ保険証をテコにしたマイナンバーカードの取得義務化は、あらゆる個人情報を一元管理し、戦争非協力者のあぶり出しなど戦争遂行のための市民監視体制づくりに道をひらく。防衛省はAI(人工知能)を使い、SNSで国内世論を軍拡賛成に誘導する工作の研究に着手した(12/9共同通信)。

 岸田政権は、民主主義も市民の生活も根底から破壊し、人びとの統制を行う戦争国家への道を突き進もうとしている。

戦争か平和か 岸田倒せ

 政府は、沖縄・南西諸島をはじめとして、国内各地に長距離ミサイル配備を予定する。3文書で「極めて重要なパートナー」と位置づけた台湾「有事」をにらみ、「臨戦態勢」をつくろうとしている。

 これは、たとえ偶発的な軍事衝突でも、全国が戦場となる危機的事態を意味する。再び戦場にしないと闘う沖縄・南西諸島や世界の民衆と連帯し、軍拡の危険な現状を地域に伝え、戦争ノーの声をあげよう。戦争へ暴走する岸田政権を退陣させよう。

   (12月12日)
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