2022年12月23日 1753号

【みるよむ(642)2022年12月10日配信 イラク平和テレビ局in Japan 市民自らの力で社会を変える―イラク10月市民蜂起3周年のデモ】

 2022年10月25日バグダッドで10月市民蜂起3周年の集会とデモが行われ、市民が抗議の声をあげた。サナテレビはデモの現場で市民にインタビューした。

 3年前のイラク市民蜂起でマハディ政権を倒した。しかし、その後の政権も腐敗は相変わらず、社会サービスも医療も崩壊し、失業者は増加、人びとの生活は苦しいままだ。

 タハリール広場には多くの市民が集まり、ある男性は権力者たちについて「この連中は汚濁にまみれている」と演説。詩人の女性は「人々の最も基本的な権利が奪われている。貧しい人々の子どもたちが押しつぶされている」と政府への怒りの声をあげた。

 別の男性は、市民蜂起がマハディ政権を倒した後に登場したカディミ政権も「役人の汚職や財政の盗み取りをとめたいと熱望する市民の声を全く聞かなかった」と訴える。ムハマド・アル・カシムさんは、若者たちが抗議活動の場にとどまり、「何十人もの同志と若者を殺した腐敗したシステムをなくす、と要求し続けている」と伝える。

「市民が街頭に出よう」

 政治活動家のハイダール・ダマトさんは「市民は、この支配権力への拒否感を新たにしました」と語る。市民に「街頭に出よう」とメッセージを送る。また、UNAMI(国連イラク支援ミッション)代表が宗派私兵のトップに会ったことも批判する。「貧しい人々や労働者に会うべきでしょう? なぜ、殺し屋と合うのですか?」

 デモ直後の10月27日、イスラム教シーア派のスダニ元労働社会保障大臣が新首相となった。スダニ自身イラン・イスラム共和国と結びつき、市民のデモを弾圧してきた内閣の一員だった。

 市民はこうした政治そのものにノーの声を突きつけている。映像は立ち上がるイラク市民の熱気と高揚を伝える。連帯しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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