2022年12月23日 1753号

【物流 貿易基地機能を壊す夢洲埋め立て/港湾労働者と連帯しカジノを止める/夢洲スタンディング行動】

 12月2日、夢洲(ゆめしま)のIR建設予定地前で、「カジノあかん」のスタンディング行動が府民70人の参加で行われた(主催―大阪カジノに反対する9団体懇談会)。場所は、夢洲の中央、コンビニ近くの交差点。

 大阪港湾労働組合協議会・事務局長と全港湾関西地本・書記長から、現地の状況報告が行われ、夢洲カジノ埋め立てが持つ問題点が物流などの観点から改めて明らかにされた。

 咲洲(さきしま)、夢洲、舞洲(まいしま)とも、大阪府・市のフェニックス計画のゴミで埋め立てた島。夢洲の先に新島があり、さらにゴミを埋め立てている途中だ。

 大阪港では、小さい20フィートコンテナで換算して、年間205万TEU(コンテナの国際単位)が取り扱われている。ポートタウン(咲洲)でのコンテナの渋滞は20年以上問題になっている。大阪港の港湾施策はまずく、狭くてアクセスも悪く、神戸港と比べても非常に立ち遅れている。島なので此花(このはな)区側と住之江区側の2本しか橋がなく、道路も3本しかない。

 当初ここは物流の基地にする予定で、大阪港湾局は2025年以降は、全体で250万TEUを超える取り扱いにする計画を持っていた。08年のオリンピック招致が頓挫して、14年に橋下徹が「大阪港の南の方に遊んでいる土地があるから万博をやろう」と。そして、安倍内閣、竹中平蔵らの「成長戦略」の中でIRの計画が浮上し、関西財界が乗ったという構図だ。

夢洲にIR・カジノをつくることで、右図の新島地区にさらに多くの廃棄物受け入れが必要となった。


 大阪港湾労働組合協議会・事務局長はIR・カジノのでたらめさも指摘した。「春闘時に、IR推進局に『IRの運転資金を、どうやって捻出するのか』と聞いたら、『8割方をカジノの上がりでやります』。それが役人のやることかと問いつめた。維新政治そのものに経済戦略がなく、カジノしかない。カジノはもちろん反対だが、私たちはまず万博で渋滞する問題にどう対処するのかを求めている。物流対策で納得のいく施策がない限り、私たちは協力できない。みなさんと一緒に運動を進めていきたいと思う」

 9団体懇談会の参加者は港湾関係労組と一緒に物流関係の労働者へのアピールを行い、行動を終えた。

 夢洲は、大阪経済にとって重要な物流基地だ。国際貿易の重要基地としての機能をも阻害するIR・カジノは止める以外にない。

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