2022年12月23日 1753号

【最高裁判決に基づき5人の就労実現を/全東リなかまユニオンを勝たせる会 発足/すべての労働者を正規職に】

 12月2日、大阪市内で「東リの偽装請負を告発し直接雇用を求めるL.I.A労組を勝たせる会」第5回総会が行われ、L.I.A労組の「全東リなかまユニオン」への名称変更に伴い、「就労を求める全東リなかまユニオンを勝たせる会」と改称。最高裁判決にもかかわらず、組合員5人の就労を拒む会社に対し、何としても就労を実現しなければならないと決意を固めた。

 11月28日、中央労働委員会での和解交渉は打ち切りとなり、結審。この審査の場に東リは突然、「金銭解決」を提案してきた。解決金の支払いとともに5人の組合員を退職させるというものだ。

 最高裁判決で5人は従業員としての地位が確認されたので、会社は判決に従い、いつ復職させるのかが問われていた。ところが、会社はあくまで復職を拒み、しかも検討にも値しない低額の「金銭解決」案。5人の組合員は、会社提案を拒否し中労委の命令を求める。

東リは5人を就労させろ

 東リ偽装請負裁判は、大阪高裁・最高裁で、東リの偽装請負認定と従業員としての地位を認める画期的勝利判決を勝ち取った。

 しかし、会社は現在に至っても偽装請負であったことを認めず謝罪もしない。組合員に対して現在の社員の就業規則適用を拒否し、5年前の賃金を支払っているのみ。「自宅待機」を命じて就労を拒否、会社への立ち入りすら認めていない。雇用保険や社会保険の手続きもサボタージュし、年金の手続きも行っていない。

 これは、組合嫌悪以外のなにものでもない。

就労の権利確立へ

 村田浩治弁護士が、東リ偽装請負事件の法的論点と闘いの意義を報告した。労働者派遣法40条の6の「申し込みみなし」制度にもとづいて従業員としての地位が確認されたのちの労働条件がどうなるか、という問題で、前例は無い。その意味で、東リの闘いは誰も通ったことのない道を切り拓く意義を持つと強調した。

 また、それは無期転換ルールの中で克服されていない問題点、すなわち、無期転換する=正社員化する、となっていないことにも通じる。組合員5人は今、請負会社の低い労働条件が適用されている状態。東リに現在ある就業規則を適用せよ、と求めている。

 兵庫労働局が東リに対し組合員の就労を求める「助言」を出しているが、今後の方針では、さらに「指導」から「勧告」へと進め、企業名を公表させていくことが提起された。

 また、東リ偽装請負事件弁護団が、日本労働弁護団総会で、労働者の権利確立への寄与を讃える労働弁護団賞を受賞したことも報告された。

組合員5人の団結で

 「勝たせる会」の総会に先立ってL.I.A労組大会は、「全東リなかまユニオン」への名称変更を行い、藤澤泰弘委員長、有田昌弘書記長の新体制を確立。「勝たせる会」も「就労を求める全東リなかまユニオンを勝たせる会」と名称変更した。

 藤澤委員長は「本当に伊丹工場で就労する。東リが最高裁命令無視に徹しているので、第一の目標は、工場の敷地内に入る、私たちが自由に出入りできること。ぜひみなさまのご支援をいただきたい」。有田書記長は「組合名を一新して『全東リなかまユニオン』に。東リ労働組合は正社員だけが対象だが、私たちの組合は、東リの全労働者、パートでもアルバイトでも再雇用でも、誰でも入れる。本当に弱い立場の労働者のために闘う」と決意表明。

 組合員5人の就労を勝ち取るため、新「勝たせる会」も全力でともに闘う。

東リ偽装請負裁判とは

 2017年3月、建材メーカー大手の東リ活ノ丹工場の請負従業員が労組を結成して偽装請負を告発したところ、会社が組合員5人を職場から排除。この不当解雇撤回を求めた裁判で、21年11月に大阪高裁は労働契約申込みみなし制度に基づき、雇用関係を認定する勝利判決。22年6月に最高裁で判決が確定した。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS