2022年12月23日 1753号

【読書室/また「沖縄が戦場になる」って本当ですか?/ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会編 頒価500円/対中国、日米共同作戦を解説】

 市民団体「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が今年9月、「台湾有事と日米共同作戦の正体」と題したシンポジウムを行った。本書はその全記録である。基調講演を行ったのは、共同通信社の石井暁・専任編集委員。米軍と自衛隊が台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案を策定していることをスクープしたベテラン記者だ。

 この作戦は琉球弧の島々(南西諸島)を拠点に米海兵隊が数十人の小規模部隊に分かれて展開し、自衛隊の支援を受けながら中国軍と戦うというもの。拠点となる島々に移動型のミサイルを配置し、中国艦船や航空機の排除にあたる。

 石井記者は、こうした日米戦争計画の策定が可能になったのは、安倍政権が安保法制(戦争法)を制定したからだと強調する。安倍晋三首相(当時)が国会答弁で強調した「邦人保護」はまやかしで、本当は「台湾有事にアメリカが参戦したときに自衛隊を自動的に参戦させるための仕掛け」だったのである。

 日米のミサイル要塞化した沖縄・南西諸島は当然攻撃目標となる。住民が戦火に巻き込まれることは必至だ。自衛隊のある幹部は石井記者にこう語ったという。「彼ら(米軍)は軍事的な合理性があれば何でもやる。その際に日本の国内法も、政策も、ましてや南西諸島の住民の命などまったく考えていないのだ」

 戦争を「勝ち負け」で語るほど愚かなことはない。被害を受けるのはいつも住民だ。「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓に学ぶことが今こそ必要なときはない。   (O)

・注文は「ノーモア沖縄戦の会」まで
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS