2022年12月30日・2023年01月06日 1754号

【東電刑事裁判控訴審 1・18に判決/逆転勝利へ要請署名提出】

 東京電力元役員3人の刑事責任を問う東電刑事裁判控訴審は年明けの1月18日、東京高裁で判決が言い渡される。

 2019年9月19日の東京地裁判決は、敷地高を超える津波を想定した文科省の特別機関・地震調査研究推進本部の「長期評価」の信頼性は低く、役員3人は津波襲来の可能性の具体的認識がなかった、として不当にも無罪とした。

 全国で争われている避難者損害賠償集団訴訟は、この長期評価の信頼性を巡って責任論が展開されてきた。ところが、伊方原発訴訟最高裁判決(1992年10月29日)で示されたように、そもそも原発事業者には「万が一にも起こしてはならない」高度の注意義務が課されている。福島原発事故直後に、経産省外局の原子力安全・保安院は規制機能を果たせなかった反省に立ち環境省外局の原子力規制委員会へ移行されたが、規制権限の行使を怠り、高度の注意義務に反したことが、もっとも問われなければならなかった。

 6月17日の最高裁判決は、「長期評価」によって対策していたとしても事故は防げなかった、とした。長期評価の信頼性の争いだけではなお不十分であることが示されたといえる。

元役員断罪は重要

 12月14日、「東電の刑事責任を追及する会」は約1か月間で集めた「一審判決を破棄し、厳正な判決を求める要請署名」819筆を東京高裁に提出した。6・17最高裁多数意見に反対した三浦守裁判官意見書や、経営陣に13兆円の支払いを命じた株主代表訴訟・東京地裁判決(7/13)など、原発事業者に課された高度の注意義務を放棄した責任追及の判例に沿って、有罪を訴えたものだ。

 会代表の小林和博さんは「署名は会員・協力者が地域で集め、憲法集会、総がかり行動、老朽原発動かすな関西集会にも出かけて訴えた。岸田政権が老朽原発の60年超運転を打ち出し原発事故の危険性が増す中、福島原発事故を引き起こした東電元役員の責任追及は特に重要である。控訴審においてわたしたちの要望が取り入れられ、逆転勝利判決が下されることを期待している」と語った。

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