2023年07月21日 1781号
【未来への責任(378)/遺族が死ぬのを待っているのか】
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韓国人の遺骨返還について、国の姿勢は相変わらず鈍い。厚生労働省は「日本人のことがまだ終わっていない」、外務省は「歴史の経緯を話す立場にない」と屁理屈ばかり。5月25日、戦没者遺骨問題についてのガマフヤー(具志堅隆松さん)と国との意見交換会に出席したイ・ヒジャさんは「私たち遺族が死ぬのを待っているのか」と迫った。加害者・国の無責任な態度に怒り心頭だ。
以下は、その時のやり取りの一部。
厚労省 沖縄や太平洋の戦没者遺骨鑑定は日本人の遺族から6913件の申請中、5050件審議し1863件審議できていない。多くの遺族が待っている状況。迅速化に取り組んでいるが、(韓国人については)我が国の状況を踏まえつつ…。
戦没者遺骨を家族のもとへ連絡会事務局 日本人が終われば、と言うことですか。
具志堅 1863件はいつ終わるんですか。
厚労省 遺族からどのようにしてDNAを取っていくかなど工夫をしてデータを出しているので簡単にはできない。
事務局 体制ができていないから韓国は後回しというが、本来は植民地から動員し死なせた韓国遺族から鑑定を先にやらなければいけない話ですよ。
イ・ヒジャ 1991年に日本に来て30年前から遺骨返還を要求している。
厚労省 日本の着手が遅かったというご指摘もわかります。体制強化をしていかねばと思っている。
イ・ヒジャ 私たちの父母を取り戻すためにこの場所にいるんだ。遺族が遺骨を帰せと言うのは最後の願いだ。戦争で勝手に連れて行ってどれぐらいの時間がたてばできるのか。毎年同じことの繰り返しにあきれてしまう。私たち遺族が死ぬのを待っているのか!
日本の遺族も続いた。「日本も韓国も命に変わりはないのですよ」「私は孫世代ですが、母の墓に入れてあげたいと待っている遺族に思いを寄せてほしい。戦没者の遺骨は国のものではない。遺骨は戦没者自身と遺族のものです」
続いて事務局から、太平洋中部タラワ島韓国人遺骨返還問題について、外務省の関与を問うた。
外務省 韓国政府が米国と話している、日本政府の関与は決まっていない。
事務局 昨年9月も今年1月も、タラワで亡くなったのは植民地の支配の結果であり関与について検討すると言ってきたのに、もう検討しないと決めたのですか。
外務省 歴史的なことは話す立場にない。
具志堅 2016年に塩崎元厚労大臣も積極的に検討すると言っていたのに、今、外務省が立ちはだかっているではないか。
今後も逃げさせないようあきらめずに粘り強く要求し続けたい。
(戦没者遺骨を家族のもとへ連絡会 上田慶司)
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