2023年11月03日 1795号

【市民のための市役所へ/再整備計画はストップできる/大阪府枚方市】

市役所の壁が落ちた!

 枚方(ひらかた)市は2017年、国や大阪府との間で市役所の移転先を、駅から離れた北河内府民センター跡地とする計画を確認していた。市民も議会も完全に無視されていたのだ。そのためもあろうか、昨年9月の市議会で「市役所移転条例案」は否決されたにもかかわらず、7月13日から伏見市長による市民説明会が市内9か所で行われ、原案とほぼ変わらない内容が一方的に説明されている。

 既に4月には、築後60年以上経過した枚方市役所の壁の一部が崩落。枚方市役所の建て替えは、もう待ったなしの状況だ。

 枚方市民は2月に、「平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会(枚方市民の会)」はじめ3つの市民団体が「枚方のまちづくりを考える市民ネットワーク(市民ネット)」を結成。現在は4団体になり、新建築家技術者集団の協力を得て、市民参加のまちづくりへの転換を求める学習会を重ねてきた。

再開発は止められる

 10月7日には市民ネットが主催して「どうする枚方 緊急学習会」を開催して165人(ZOOM参加20人)が参加。

 間野(まの)博さん(県立広島大学名誉教授)が都市計画の専門家としての立場から「枚方市駅前周辺地区は、駅前が再開発され、その先に大きな広場(岡東中央公園)があり、その周りに市庁舎・市民会館、官公庁団地がある、誇るべきまちづくり遺産です」と強調。ドイツのミュンヘン(バイエルン州)やアメリカのポートランド(オレゴン州)の市役所前の大広場を画像で紹介して、市民のための市役所(シティ・ホール)が世界では多く見られ、市民にとって絶好の集う場となっていることを明らかにした。

 中西晃さん(新建築家技術者集団 大阪支部)は、土地区画整理事業の基本ルールに基づき、市庁舎・市民会館、官公庁団地のある第C・第D街区の事業を検証。「神戸市が2019年から、都心の商業地域でのタワーマンションの立地を規制していることに注目したい。枚方市の開発計画はすべて白紙に戻し、市民とまちづくりの在り方を議論するべきだ」と提案した。

 最後に▽枚方市駅周辺再整備基本計画の白紙撤回▽土地区画整理事業に伴う市有地の売却計画の撤回▽岡東中央公園の整備区域への編入反対▽タワーマンションの駅前立地の中止―を求める決議を全体で確認した。

市役所は市民のもの

 学習会に先立つ10月4日には、200人以上の市民によるヒューマンチェーンが枚方市役所を取り囲んだ。(本紙1793号既報)

 “市役所は市民のもの”という、国際的に当たり前の地方自治の実現をめざして、枚方市民の闘いはさらなる広がりを見せている。



できることは何でもする

 9月議会では、伏見市長から市役所移転条例案の提出はありませんでした。10月4日のヒューマンチェーンの成功と、「伏見市長の祝勝会問題…公選法違反」の議会での問責決議案が影響したと思われます。

 また、10月7日の市民ネットの緊急学習会には、共産党の他に「連合・市民」の市会議員も参加していて、9月議会での市長の所信表明に対する質疑は、鋭い内容がありました。

 得られた情報によれば、12月議会(議会運営委員会は1日、本議会は8日予定)には市役所移転条例案が提出される動きとのこと。予断は許されない状況が続いています。

 また市長の問責決議案には、与党とされる公明党も提出議員に名を連ねるなど、これまでと違う動きも出てきています。

 12月議会に向けて、市民の側もさまざまな取り組みを始めています。

 枚方市民の会は19日に市内5か所で「市役所が遠くなること、市有地の売却」の賛否を問うシール投票を行い多くの対話ができました。

 また▽市役所移転条例の提出はしない▽市役所は市民大ホール周辺跡地に▽市有地の売却反対―を枚方市議会へ求めるFAX行動や署名行動も継続中。

 市民ネットでは▽新たなビラを作成しての全戸配布▽市会議員への情報提供▽枚方市との懇談▽大阪府、府議への働きかけ―など「できることは何でもする」方針で、ヒューマンチェーンの第2弾も検討中です。

(平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会・大田幸世)
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