2023年11月24日 1798号

【「ガザへの核攻撃もあり得る」/閣僚暴言にみるイスラエルの本音】

 パレスチナ自治区ガザへイスラエルの軍事侵攻が続く中、同国の閣僚がガザ地区への核攻撃を肯定する発言をした。その閣僚はアミハイ・エリヤフ文化遺産担当相。極右政党「ユダヤの力」からネタニヤフ政権に入閣している人物だ。

 11月5日(現地時間)、ラジオ番組に出演したエリヤフは「ガザ地区に今、非戦闘要員(民間人)はいない」と発言。「民間人がいなければ核攻撃も選択肢になるのか」との問いかけに、「それも一つの方法だ」と答えたのである。

 ネタニヤフ首相はエリヤフを職務停止にするなど火消しに追われているが、近隣諸国は激しく反発している。アラブ圏22か国の集まりであるアラブ連盟は声明を発表。「イスラエルが核兵器保有を認めただけではなく、パレスチナ人差別の実態を裏付けている。これが占領者の政府の本当の顔だ」と糾弾した。

 そう、イスラエルは核兵器を隠し持っているのだ。ストックホルム国際平和研究所の推計によると、約90発の核弾頭を保有しているとされる。地上発射弾道ミサイル「ジェリコ」の射的距離は1500q〜6500q。アラブ諸国全体、イランも十分射程内に入る。

 イスラエルは1950年代から極秘裏に核兵器開発を進めていた。米国政府から研究用の原子炉を購入し、フランス政府からも支援を受けていたという。かくして、核拡散防止に関する国際的な取り決めに縛られることなく、核武装に成功したというわけだ。

 日本政府は「北朝鮮の核開発」を批判し、制裁措置を実施している。だが、イスラエルには何もしていない。今回の「核攻撃」発言についても抗議ひとつ行わない。これでは岸田文雄首相が「核なき世界」を訴えたところで、説得力はまるでない。     (M)
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