2024年01月05日 1804号

【長期腐敗政権がもたらした裏金問題/一掃すべきは自民党政治】

 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥である安倍派の事務所が東京地検特捜部の強制捜査を受けた。安倍派は組織的な裏金作りを行っていた疑いを持たれており、松野博一・前官房長官ら同派の中枢幹部が任意の事情聴取を受けた。

 安倍派では、各議員が集めたパーティー券収入について、派閥の政治資金収支報告書には販売ノルマ分のみを載せ、ノルマ超過分は記載せずに裏金として議員側にキックバックしていた。還流分は支出にも載せず、受領した議員側も自身の政治団体の収入に載せない運用にしていた。

 この裏金は何に使われていたのか。実は選挙資金を想定したと思われる特例措置が安倍派にはあった。改選を迎える参院議員が集めた資金については、全額を裏金として還流していたというのだ。実際に闇の選挙資金の提供だったなら公職選挙法に違反する。

 7月に参院選が行われた2022年の政治資金収支報告書をみると、他の派閥と比較して安倍派のパーティー収入は異常に少ない。参院選の候補者に対して全額還流していたからだと考えるとつじつまが合う。ちなみに当時の会長は安倍晋三元首相その人だ。

   *  *  *

 政治資金パーティー券の大半は企業・団体が購入している。実態は政治買収にほかならない企業・団体献金の抜け道として機能してきたということだ。業界団体が出すカネが政治を歪め、不正な会計の温床になっているのである。

 自民党の裏金問題は「一強」政権が放埓な権力行使を繰り返した必然的結果だと、ジャーナリストの青木理は指摘する。一掃しなければならないのは安倍派の議員だけではない。腐敗した自民党政治そのものを終わらせるときだ。 (O)
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS