2024年01月05日 1804号

【千葉訴訟控訴審不当判決 国の責任否定 「最高裁のコピペだ」】

 千葉県に避難した原発事故被害者6世帯17人が東京電力と国を訴えた千葉訴訟(第2陣)控訴審で東京高裁は12月22日、国の責任を否定し、東電への損害賠償額を1審から計約70万円も減額する判決を言い渡した。

 法廷が開始されるや原告弁護団は「メディアには配布したという判決要旨を私たちは目にしていない。この場では判決骨子とその理由を」と要請。土田昭彦裁判長は「意見はお聞きした」と返事しながら約10分間、主文にあたる「請求1については、却下する。2については…」と述べ、「以上」と退席した。傍聴席からは「判決理由を」「裁判官の役目を果たしてください」と抗議の声が上がった。

 判決は「規制権限を行使して対策を義務付けていたとしても事故は防げなかった」と、昨年の6・17最高裁判決の結論部分だけをなぞったコピー文。最高裁判決が出た後だから判決理由の説明は不要、と言わんばかりで東京高裁の存在を自ら否定する判決だ。

 報告会で滝沢信弁護団事務局長は「驚いた。最高裁判決のコピペで自分では何も考えていない。上告を申し立てる」と、怒りを表明。原告の女性は「怒りと悔しさでいっぱい。10年の訴えが認められず冷静な気持ちになれない。こんなことではまた原発事故が繰り返されるのでは。あきらめきれない」と涙とともに訴えた。

 「裁判官が仕事をしていない」(愛知・岐阜訴訟)「裁判官は失格だ。法廷もここまで落ちたのか。危機感いっぱいだ」(神奈川訴訟)「よく恥ずかしげもなく裁判官をやっていられるな。京都で仇(かたき)を取りたい」(京都訴訟)など、全国の集団訴訟原告団から最高裁第2波の闘いを共に担う決意が相次ぐ。支援団体からは、司法のひどい実態を暴き、対最高裁や駅頭などでの世論に訴える運動の強化が訴えられた。
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