2024年01月19日 1805号

【ミリタリーウォッチング/沖縄全域のJアラート騒動/鳴らすなら 本当に危険な オスプレイ】

 11月21日、22時45分ごろ朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が「軍事偵察衛星」(政府・メディアは「ミサイル」と呼んだ)を発射。「宮古島と沖縄島の間の上空を通過し、1200`ほど飛行したあと、宮古島の北400`付近の高度およそ450`まで上昇したところで、レーダーから消失した」と報じられた。

 軍事緊張を高めるいかなる行動にも私たちは反対である。だが、この「ミサイル」事件に関する日本政府の対応は従来に増して極めて異常であった。「ここぞ!」とばかりにJアラートを発令し、沖縄県全域に、防災無線、TV、ラジオ、携帯電話などで「怖さと不気味さ」いっぱいの重低音の警戒音を鳴らし、「堅固な建物への避難」などを呼びかけた。全国のTVなども番組を中断し夜中まで延々と「緊急報道」を続けた。

 「ミサイル」は沖縄を狙って発射されたものでもなく、通過高度も450`上空だ。部品の落下等による被害の可能性は、通常の民間飛行体(旅客機の最大飛行高度は12〜13`)よりもはるかに低い。まして、米軍や自衛隊の軍用機による超低空飛行の危険性に比べれば、問題にならない程度である。実際、住民の多くは「アラート(警報)の音が何よりも怖かった」と答えている。「戦争前夜」を演出する政府のJアラート発令は極めて悪質である。

屋久島沖に墜落

 はるか上空を通過するミサイルどころではない沖縄―全国の空を覆う危険、脅威が現実のものとなった。11月29日午後、「CV22オスプレイ」が屋久島の東約1`の海上に墜落した。墜落当初は、飛行停止の声を無視、飛行を強行していたが、米軍は12月6日、世界中のオスプレイ全機の飛行を一時停止すると発表した。初期調査の結果、これまで主張してきた「操縦ミス」ではなく「機体の不具合」が否定しきれなくなったからだ。

 オスプレイは単なる輸送機ではない。戦闘地に兵員や武器を送り込むなど徹頭徹尾、「効率的」に戦闘を行うために無理やり開発し、実用化した兵器である。欠陥かつ未完であることは世界に知れ渡っている。オスプレイが、沖縄をはじめ日本の上空を航空法(150b以上の高度で飛行すること)に規制されないとして、60bの低空飛行訓練を続けるのは、レーダーに捕捉されにくいという純粋に軍事的目的からである。

 オスプレイの存在は、住民の安全など全く眼中にない軍事最優先の象徴といえる。そんな危険なオスプレイが早朝、夜間を問わず、何年も沖縄の空を飛び交い住民の生活と命を危険さらしてきた。

 日本政府が、もし国民保護、住民の安全≠本気で考えるなら、オスプレイが飛んでいる時こそ、Jアラートを発令すべきではなかったか。

豆多 敏紀
平和と生活をむすぶ会
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