2024年01月19日 1805号

【液状化現象そして地盤沈下/万博・カジノに夢洲リスク】

 カジノを中核とした大阪IR(統合型リゾート)の予定地である「夢洲(ゆめしま)」で、12月4日から地盤の液状化対策工事が始まった。工事はIRの運営事業者が3年程度かけて行う。費用はおよそ255億円。土地を所有する大阪市が全額負担することになっている。

 夢洲は廃棄物や建設残土の処分場として埋め立てられてきた人工島だ。地震発生時に地盤が液状化する危険性が極めて高い。高層建築物の立地には不向きな土地なのだ。ところが大阪市は「夢洲では液状化は起こらない」(2017年の市議会答弁)と主張してきた。IR施設を建設しても大丈夫だというわけだ。

 そのウソが事業者側が2020年に行ったボーリング調査でバレてしまった。「IR事業用地は液状化しないとの認識の下、これを前提に計画を進めてきた」「液状化リスクのある土地では、IRのような大規模開発は極めて困難」。事業者にこう指摘された大阪市は液状化対策を含む土壌対策費(788億円)の支出を決定した。「IR事業には税金を投入しない」(松井一郎前市長)という公約を反故(ほご)にしたのである。

 夢洲は「支持基盤(洪積層)が長期に沈下する極めてまれな地盤条件」ゆえの地盤沈下問題も抱えている。前述の788億円の中に地盤沈下の対策費は含まれていない。IR事業者に撤退されることを恐れる維新市政が「地盤沈下対策も公費負担で」と言い出すことは目に見えている。まさに底なし沼への税金投入だ。

 ちなみに夢洲は2025年4月開催予定の大阪・関西万博の会場でもあるが、万博エリアは液状化などの対策工事をしていない。そんな場所に集客施設を建てようとしているのである。日本が地震大国だということを維新府政・市政は無視している。    (O)
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