2024年01月19日 1805号

【国の責任否定する不当判決/原告席から怒りの嗚咽/原発被害東京訴訟控訴審】

 福島原発被害東京訴訟第1陣控訴審の判決が12月26日、東京高裁であった。84席の傍聴券の抽選に149人が列を作った。

 判決は、国と東京電力双方の責任を認めた一審東京地裁判決を一部取り消し、「国が規制権限を行使して東電に津波対策を義務づけたとしても、大量の海水の侵入を防げなかった可能性が高い」として国の責任を否定。「原判決中一審被告国の敗訴部分を取り消す」と三角比呂裁判長が述べると、原告席からむせび泣く声が聞こえた。怒りに震える嗚咽(おえつ)を意に介することなく判決文の朗読は進み、賠償額は一審の約5900万円から約2350万円へと圧縮。傍聴席から「避難は続いているんだぞ」「途中で切るな」と声が飛んだ。

 記者会見で原告の鴨下全生(まつき)さん(21歳)は涙ながらに「原発は国策で動いていた。国の関与がなければ原発は成り立たない。なのに責任が国に全くないと司法が言い切る。あり得ない。国が僕たち区域外避難者のことを否定する発信をしていなければ、ひどい避難者いじめで苦しむことはなかった。どこにこの被害の救済を申し出ればいいのか。裁判官は己(おのれ)の良心に従って判断するんじゃなかったのか」と訴えた。

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