2024年01月19日 1805号

【代執行を撤回せよ/現代の「琉球処分」だ/「民意踏みにじるな」と防衛省に申し入れ/辺野古への基地建設を許さない実行委員会】

 辺野古への基地建設を許さない実行委員会(辺野古実)は1月4日、防衛省前抗議行動を行い、基地建設に反対する申し入れ書を同省職員に手交した。行動には新年早々にもかかわらず100人が集結した。

 斉藤鉄夫国土交通大臣は12月28日、辺野古埋め立ての設計変更申請を沖縄県に代わって承認する代執行≠ノ踏み切った。申し入れ書には「国策の名のもとに県知事の権限を奪う地方自治の否定」「反対が多数を占める沖縄の民意を踏みにじる蛮行」など厳しく批判する文言が並ぶ。

 国は大浦湾の埋め立て工事を1月12日に開始しようとしている。申し入れ書は「なぜ代執行の審理の最中に五洋建設・大成建設・國場組JV(ジョイントベンチャー=共同企業体)と93億4120万円および261億4700万円、東亜建設・大林組・大城組JVなどとも140億円ほどの契約がなされているのか」と不可解を指摘。玉城デニー知事の不承認を無視し、判決を待つことなく代執行ありき≠ニ突き進む強権姿勢がうかがえる。

 沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんが電話参加し、「実質審議はほとんど行われず、裁判所は役目を果たしていない」と述べるとともに、「沖縄はまだ負けていない」と強調。辺野古ゲート前座り込みなどの闘いの継続を誓った。

 防衛省正門前に出てきた職員に対し、「完成の見込みがなく、普天間基地の危険性除去にはならない辺野古新基地建設計画を中止せよ」「辺野古承認代執行を直ちに撤回せよ」「大浦湾をこれ以上壊すな。自然保護区として豊かな自然を守れ」などと申し入れ書を読み上げた。

 工事強行予定の12日には、「代執行による大浦湾埋め立て着工許さない」として、首相官邸前で終日行動を行う。

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 福岡高裁那覇支部の判決(12/20)により県が設計変更を承認するよう命じられた期限である12月25日にも、防衛省前で「辺野古代執行許さない」と緊急アクションが取り組まれた。

 「ここへ来るのは初めてです。場所が分からず、グーグルで検索してやっと来れました」という女性がマイクをとり、「海外で臓器移植する子どもに必要なのは1億円。オスプレイ1機に100億円。なぜ子どもの命を救うために使わないのか。おかしい」。

 川柳作家の乱鬼龍さんは「代執行/自治人権を/踏みにじり」「国こそが/反社の極み/代執行」の川柳を掲げる。辺野古実の防衛相・国交相宛て要請文はこう締めくくられている。

 「代執行を他の都道府県でもやるのか。判決の根底には何でも沖縄に押し付けていいという沖縄軽視・蔑視・差別がある。国が自治体事務を代執行したケースはない。そのようにして基地を建設し、米軍に提供した例は全国どこにもない。

 代執行は現在の『琉球処分』である。処分官は国交相だ」

 発言では、この日病床にありながら不承認を貫くことを表明した玉城知事の勇気ある決断を高く評価する声が多く聞かれた。



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