2024年01月26日 1806号

【首相官邸前でも終日行動/"沖縄ごと"ではなく日本の問題として】

 原発避難者住宅追い出し裁判の控訴審判決が1月15日、仙台高裁で言い渡された。30人の傍聴者が見守るなか、瀬戸口壯夫(たけお)裁判長は「主文、1 本件控訴はいずれも棄却する…2は…以上」とその間30秒。逃げるように立ち去った。「理由説明を」「しっかり仕事を」と怒りの声が上がる。一発結審(昨年7月10日)で審理もせず、一審福島地裁不当判決を支持する暴挙だ。支援者は高裁前で「審理もせずに判決書くな」「人権無視の不当判決糾弾」とシュプレヒコールをぶつけた。

 記者会見で柳原敏夫弁護士は「原発事故を想定していない災害救助法で住宅を保障するのは限界(適用すべき法がない)、国際人権法の適用で長期住宅提供をと訴えてきたのに、判決は災害救助法に違反していない、国際人権法で住宅が保障されているわけではない、と的外れな判断」と批判。古川健三弁護士は「判決文に『生存権等の保障に欠ける個別的な主張立証がされていない』とあるが、冗談ではない。個別的な証言、本人尋問も拒否しておいてよく言えたものだ」と怒る。

 避難当事者は、現行法・制度の不備による犠牲者で、公的住宅に入居できない、代替措置がない実態を問うているが、判決は「災害救助法/公営住宅法」から「打ち切り判断は行政の裁量権」「福島県には都営入居に関して権限はない」とのみ。国内避難民に関する指導原則で法の欠陥を補う視点すら持ち合わせない。

 報告会には仙台市民が多くかけつけた。参加者が一人ひとりの思いを色画用紙に書き込んだ。「人権無視の裁判所!恥を知れ!!」「国って国民が構成してるものでしょ!一人一人を大切にしろ!!」「司法判断を放棄した裁判所はいらない!」「避難者は全員公的住宅へ!」「事故避難者を犯罪者のように扱うな!」

 被告の避難当事者は「絶対に許すことができません。これからも一緒に闘って下さい」と訴えた。

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