2024年02月23日 1810号

【みるよむ(684)/2024年2月10日配信/首都バグダッドの交通大渋滞/政府の無策で深刻化】

 イラクでは、首都バグダッドをはじめ交通渋滞が深刻化している。2023年11月、サナテレビはこの問題に焦点を当てた。

 バグダッドの道路ではしばしば大渋滞が起こっている。サナテレビによると「昼の12時に約束があるなら、普段10分で行ける距離でも、少なくとも2時間前には出発しなければならない」という。イギリスの雑誌が「中東で最悪」と報道するひどい実態だ。

 原因の一つに、道路の老朽化がある。1950年代から建設されてきた道路が十分なメンテナンスをされていない。

 もう一つは、治安の危機≠竢@教行事の際に使われる検問所が、固定検問所だけで250か所、臨時検問所も合わせると計1000か所もあることだ。毎日検問所に動員される数百人の兵士たちは「自分たちの活動は何の役に立ってもいないし、市民の怒りを感じるばかりだ」と言う。

 市内の自動車の多さも大きな問題だ。登録されている車だけで400万台、トゥクトゥクという乗合輸送に使われるオート三輪は100万台もある。

 イラク政府の交通渋滞に対する対策はお粗末そのものだ。イラク南部のサマワでも、橋の整備が遅れているために、ここ10年間にわたって市の中心部で渋滞が起こっている。

地下鉄もないバグダッド

 大都市バグダッドには今も地下鉄がない。1980年代から計画だけはあったが、現在も実現していない。

 これら政府の交通政策の無策について、サナテレビは「待ったなしのこの問題を解決できないイラク政府の無能さを露呈している」と痛烈に批判している。

 イラク政府は道路の整備を怠って大渋滞を放置し続けている。公共交通の充実にも取り組んでいない。サナテレビは道路や鉄道の整備など公共政策を要求しようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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