2024年02月23日 1810号

【市民の大きな勝利/伊藤忠らが“死の商人”エルビットと手を切る/ガザ虐殺の戦争マシーンにくさび】

 伊藤忠商事と日本エヤークラフトサプライ(NAS)が相次いでイスラエル最大の軍需企業「エルビット・システムズ」との協力関係終了に追い込まれた。

 伊藤忠商事の100%子会社・伊藤忠アビエーションとNASは昨年3月、イスラエル軍にパレスチナ人虐殺兵器を供給する“死の商人”エルビット社と協力覚書を結んでいたが、伊藤忠商事は2月5日、NASは9日、同覚書を2月末をめどに終了すると発表した。

 これは「伊藤忠はエルビット社と手を切れ」署名を広げてきた「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会」をはじめとする市民の大きな勝利だ。若者たちが始めた非暴力の市民の運動が、世界最強とされる戦争マシーンとパレスチナ人民族浄化を狙う入植者植民地主義・アパルトヘイト権力機構に確実にくさびを打ち込んだ。

 9日、東京・四谷三丁目のNAS本社前。5日の伊藤忠商事の発表を受け、残るNASが虐殺加担企業との関係を断つよう求めて120人が集まった。

 パレスチナBDS(ボイコット・投資撤退・制裁)全国委員会のメッセージが紹介される。「パレスチナ市民の感謝の気持ちを伝えたい。ICJ(国際司法裁判所)の措置命令が無意味ではなかったことが証明された。世界初の日本の例に励まされる」

私たちにはパワーがある

 学生若者有志の会の皆本夏樹さんは「NAS北関東工場のサイトには、イスラエルの軍事企業がパレスチナ人を実験台にして開発した製品や実際にイスラエル軍がパレスチナ人虐殺に使用している武器が一覧として並んでいる。自衛隊が武器の一部をイスラエルから調達しているとも報道された。パレスチナ人虐殺の武器を自衛隊が使い、それをNASが取り扱っているということだ」と告発した。

 ガザ出身のハニンさんは「伊藤忠はICJ命令を理由にするが、それだけではない。デモや署名運動に取り組んだみんなの声がかちとったもの。その声がなければ伊藤忠がしていたことを誰も知らなかった。私たちにはパワーがある。パレスチナ解放まで闘い続けましょう」と呼びかけた。

 「虐殺サプライ/エヤークラフトサプライ」「殺しで儲けるエヌ・エイ・エス/に幻滅です」「NAS, you can't hide! You're supporting genocide! (ジェノサイド支えるNAS、逃げられないぞ)」のコールが長く続く。

 NASが協力終了を発表したのはこの直後だった。

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