2024年03月08日 1812号

【みるよむ(686) 2024年2月24日配信:賃金支払いを要求するスレイマニア教員 ―ストライキし首都で2000人デモ―】

 イラク北部のクルディスタン地域・スレイマニア州では、賃金の遅配に苦しむ教員たちがストライキや大規模なデモを展開してクルディスタン地域政府、バグダッドの中央政府に対して要求を突きつけている。2023年12月、サナテレビはこの闘いを取材した。

 スレイマニアの教員は、この時点で賃金や給付金を3か月に1回しか受け取っていない。遅配が続けば当然生活ができなくなる。

 映像は学校の教室の様子も映し出している、1クラスの生徒の数が多すぎる。教員が不足しているのだが、州当局は講師の配置さえ満足に行っていない。

 賃金の未払いとひどい労働条件・教育条件に怒る教員たちが立ち上がった。授業をボイコットし、ストライキに突入したのだ。

 クルド地域政府の教育大臣はストライキ中止と職場復帰を要求したが、教員たちは数百人のデモを組織することで大臣の要求にいわば回答≠突き付けた。ある教員は「抗議行動は憲法で保障された権利」と闘いを宣言している。しかし、地域政府はまともに対策を打ちださない。

バグダッドで大集会

 それでは、と教員たちはバグダッドに2千人で乗り込んだ。政府の妨害で集団での入市は阻止されたが、個人個人でバグダッドに入り、タハリール広場で2千人の集会とデモを敢行した。

 デモの隊列は圧巻だ。教員たちは確信に満ちている。これだけの闘いを組織し、400キロも離れたスレイマニアから2千人も首都に乗り込んだ自信の表れだ。

 それでも、地域政府は何の解決策も出さない。中央政府は状況に関心がない。政府は石油などから大きな収入を得ているにもかかわらず、教育や医療、福祉などの社会サービスへの支出を抑え込んでいるのだ。

 教員たちはさらに闘いを続ける。闘うイラクの教育労働者と連帯しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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