2024年03月15日 1813号

【MDS(民主主義的社会主義運動)集会基調要旨/パレスチナ、ウクライナ即時停戦/軍拡・生活破壊・金権腐敗の岸田内閣を打倒しよう】

 民主主義的社会主義運動(MDS)は、3月2日から各地で集会を開催し、今求められる闘いの方針を提起する。基調報告の要旨を掲載する(まとめ、見出しは編集部)。

ラファ攻撃 ジェノサイドを許すな

 イスラエルはジェノサイド(集団殺害)を徹底して実行している。現在、ガザ南部のラファ侵攻を狙っている。さすがにグローバル資本主義国の政府もこの攻撃を批判している。マクロン仏大統領、キャメロン英外相、スペインのサンチェス首相、アイルランドのバラッカー首相。バイデン米大統領すらも「大規模な地上侵攻をしないことを期待している」と言わざるを得なかった(2/15朝日新聞)。



 だがネタニヤフ首相は「人質交渉成立でもラファ攻撃をする。ハマスの最後の拠点を放置しておくことはできない」(2/27朝日新聞)と強行の構えだ。パレスチナ国家を認めず、パレスチナ人を追放するのが目標だからだ。各国政府の批判も口先だけ。日本の上川陽子外相もラファ攻撃中止を明確に求めていない。

 世界の即時停戦を求める闘いは大きく前進している。国際司法裁判所(ICJ)からイスラエルに対しジェノサイド行為防止措置命令が出た(1/26)。闘いの成果だ。米国では、青年(18−28歳)の72%がバイデン政権の対応を批判している。シカゴでは高校生が停戦決議を求めデモを行い、市議会は決議をあげた。



 イスラエル企業をターゲットにしたBDS(ボイコット、投資撤退、制裁)運動も世界で前進している。伊藤忠商事、日本エヤークラフトサプライがイスラエルの軍需企業エルビット・システムズとの協力覚書の終了を発表した。市民の抗議行動とICJの命令がもたらした成果だ。

 孤立しつつある戦争推進者を徹底して追い詰め、ジェノサイドをやめさせねばならない。

ウクライナ復興需要狙う日本企業

 2月24日、ウクライナ戦争は3年目を迎えた。ウクライナの反転攻勢は失敗し、軍事的勝利の道はないところに来ている。

 EU12か国1万7023人に対する調査(1月、独シンクタンク「欧州外交問題評議会」)では、「ウクライナが勝利する」と答えたのはわずか1割、「ロシア勝利」が2割、「両国の和解で解決すべきだ」が37%であった(2/22朝日新聞)。欧州市民の多くは軍事的決着ではなく交渉で解決すべきと望んでいる。

 しかし岸田首相は1月30日の施政方針演説で「対ロ制裁、ウクライナ支援は今後とも強力に推し進める」と述べ、停戦を否定する。2月19日「日ウクライナ経済復興推進会議」を開催し、日本企業81社が参加した。復興需要は10年間で4860億ドル(約72兆円)。武器輸出で稼げない日本資本はこれを狙っているのだ。ウクライナのエネルギー相は原発4基の建設を日本と協力して進めると口にしている(2/25日経新聞)。

 ウクライナ戦争で世界の軍需資本は軍事費の大膨張を受け莫大な利益を上げ続けている。そしてグローバル資本はウクライナ復興事業でも利益を挙げようと画策しているのである。多くの人間の命が失われていることなど全く眼中にない。

ストライキで賃上げ 社会変革への闘いを

 岸田内閣の支持率は大きく落ち込んでいる。政治資金問題だけではなく、軍拡、生活破壊路線がもたらすものへの強い怒りである。

 軍事費は24年度予算案では前年度比1・1兆円(17%)増、7兆9496億円。この24年度大軍拡予算をさらに増やせとの強い意見が出されている。

 「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」で座長の榊原定征(さだゆき)元経団連会長は軍事費の増額を主張(2/19)。「官民一体による技術開発を強化し、(防衛)技術を民需にスピンオフ(波及)させ、経済成長につなげていくことが必要だ」(2/20読売新聞)という。最大の軍需企業三菱重工は軍需部門の売り上げを23年5千億円から26年度までに年1兆円の計画を立てている。他の軍需企業も同様だ。

 軍事費急増に対し社会保障は抑制される。社会保障費自然増が1400億円圧縮され、年金は物価上昇を下回る改定で実質減となる。

 社会保障抑制を象徴するものが訪問介護報酬の削減である。高齢者が増加し訪問介護のニーズが高まっているにもかかわらず、社会保障支出を減らすためには訪問介護事業所が潰れた方がいいという政権の悪意が込められている。

 しかも介護保険料、国民健康保険料などの負担増が進められようとしている。

異常な株価高

 岸田政権は支持率低下の中で経団連とともに賃上げを主張するという奇妙な現象が起きている。しかし実質賃金は下がり続けている。政府、資本は搾取をやりすぎて、消費が減り、経済成長がストップし、外国人労働力も入らなくなることを恐れて、わずかばかりの賃上げを認めるにすぎない。大企業の膨大な内部留保を法人税強化、賃上げで取り上げなければならない。



 少子化対策として24年度から3年間で年3・6兆円を支出するという。その財源として医療保険に1兆円の支援金を上乗せしようとしている。加入者1人当たり平均月500円増となる(「1000円を超えることもある」と加藤鮎子こども政策担当相は発言、2/23日経新聞)。社会保険料はその目的のために徴収されるものであり、少子化対策に健康保険料を使うなどありえないことである。

 現在異常な株価高が続いているが、日本企業の決算「好調」に着目した海外投機資金が流入している結果であり、生活がよくなるものではない。岸田政権は市民の大多数が生活悪化しようとも支配階級、グローバル資本が儲け続ければいいという立場を貫いているのである。このような岸田政権を継続させてはならない。

沖縄連帯・万博中止

 政府の軍拡路線に対し沖縄県民、全国の市民の闘いが強まっている。沖縄県民の闘いに連帯し、基地建設を止めていこう。ZHAP(全交辺野古反基地プロジェクト)署名を強化し、米国バイデン政権に働きかけよう。ノースドックなど全国の自衛隊基地・米軍基地に対する闘いを強めよう。

 岸田軍拡が全国の市民生活の悪化を招いていることを大きく訴えていかねばならない。非正規労働者が靴販売ABCマート、アマゾン倉庫、流通企業ベイシアなどでストライキを貫徹し賃上げを獲得している。滋賀県大津市では介護保険料の全面的値下げをかちとっている。万博、カジノに対する闘いが大きく進められている。

 世界の市民・労働者はグローバル資本の戦争、生活破壊に対し闘いを大きく進めている。この闘いをさらに強め、戦争勢力を追放し、全世界を大きく変革していこう。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS