2024年03月22日 1814号

【1814号主張/3・11フクシマから13年/命よりカネの原発と手を切れ】

改めて危険示す能登地震

 正月に能登半島を襲った巨大地震で、北陸電力志賀原発のある石川県志賀町は震度7を観測した。東日本大震災に匹敵する揺れが、志賀原発からわずか10`bしか離れていない観測点で記録された。変圧器が故障し大量の油が流出、外部電源2系統は喪失したまま。復旧のめどは立たない。

 志賀原発は高台に建っており津波に襲われなかったが、地震の揺れだけで重要施設が破壊された。3・11以降、原発推進派は「福島原発が壊れた原因は津波だ。津波対策さえ見直せば再稼働してもいい」という新たな神話≠市民に押しつけようとした。その神話≠ヘ能登地震で壊れた。

 被災地で、国が避難路に指定した11本の道路のうち7本が通行止めになった。全家屋の7割が「危険」と判定された地区もある。国が原発事故対策として打ち出した避難計画も屋内退避も、机上の空論に過ぎないことが明らかになった。

原発推進に未来なし

 岸田政権は昨年、老朽原発の運転延長や原発による電力供給義務をうたうGX関連法案を、市民の反対を押し切って強行した。

 だが、福島原発事故前、50基以上あった日本国内の原発は廃炉が進み、現在は33基。このうち再稼働は11基に過ぎない。全発電量に占める原発比率は事故前に最高で34%だったが事故後は4〜6%。13年間で一度も1割を超えられなかった原発が今後「主力電源」として復活することはない。

 ドイツでは、メルケル政権が決めた脱原発を昨年完了させた。原発大国フランスでは、原発で巨額の債務を抱えたメーカーに続き電力会社も経営危機に陥った。米国企業は小型原子炉開発から撤退表明した。

 あらゆるデータが原発に未来がないことを示している。13年間、世界各地で絶え間なく続けられてきた反原発運動の力が原発を再起不能に追い込んでいる。

闘い結集し即時全廃へ

 長崎県対馬市長選では核のごみ受け入れ拒否の現職が勝利。核のごみに行き場はない。汚染水海洋投棄の強行をめぐっては3月4日、差し止め訴訟の初の弁論で、約束を平気で破る東電に漁業者・市民が強い怒りを表明。また、300人を超える子ども甲状腺がん患者の中から賠償訴訟を起こした若者7人が新たな生き証人として支援を広げる。

 最高裁は2022年6月、原発賠償に関し国の責任を否定する不当判決を出したが、裁判官の多くが電力会社と癒着していた事実が暴露され新たな怒りを呼んだ。市民が司法の腐敗を正すため行動に立ち上がっている。

 政府も司法も国会も被害者を守らない。情報は隠され真実が報道されない。事故が起きても逃げ場もなく誰も責任を取らない。こんな原発は即時全廃しかない。

 (3月10日)
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